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〘443㌻〙

第1章

1 ヨシユアの死しにたるのちイスラエルの子孫しそんヱホバに問とひていひけるはわれらの中うち孰いづれか先さきに攻せめ登のぼりてカナン人びとと戰たゝかふべきや 2 ヱホバいひたまひけるはユダ上のぼるべし視みよ我われ此これ國くにを其その手てに付わたすと 3 ユダその兄弟きやうだいシメオンに言いひけるは我われと共ともにわが領地りやうちにのぼりてカナン人びとと戰たゝかへわれもまた偕ともに汝なんぢの領地りやうちに往󠄃ゆくべしとここにおいてシメオンかれとともにゆけり 4 ユダすなはち上のぼりゆきけるにヱホバその手てにカナン人びととペリジ人びととを付わたしたまひたればベゼクにて彼かれら一萬人まんにんを殺ころし 5 またベゼクにおいてアドニベゼクにゆき逢あひこれと戰たゝかひてカナン人びととペリジ人びとを殺ころせり 6 しかるにアドニベゼク逃󠄄のがれ去さりしかばそのあとを追󠄃おひてこれを執とらへその手て足あしの巨󠄃擘おほゆびを斫きりはなちたれば 7 アドニベゼクいひけるは七十人にんの王わうたちかつてその手て足あしの巨󠄃擘おほゆびを斫きられて我わが食󠄃几だいのしたに屑くづを拾ひろへり神かみわが曾かつて行おこなひしところをもてわれに報むくいたまへるなりと衆ひと〴〵之これを曳ひきてエルサレムに至いたりしが其處そこにしねり

8 ユダの子孫しそんエルサレムを攻せめてこれを取とり刃󠄃やいばをもてこれを擊うち邑まちに火ひをかけたり 9 かくてのちユダの子孫しそん山やまと南方みなみの方かたおよび平󠄃地へいちに住󠄃すめるカナン人びとと戰たゝかはんとて下くだりしが 10 ユダまづヘブロンに住󠄃すめるカナン人びとを攻せめてセシヤイ、アヒマンおよびタルマイを殺ころせり〔ヘブロンの舊もとの名なはキリアテアルバなり〕

11 またそこより進󠄃すゝみてデビルに住󠄃すめるものを攻せむ〔デビルの舊もとの名なはキリアテセペルなり〕 12 時ときにカレブいひけるはキリアテセペルをうちてこれを取とるものにはわが女むすめアクサをあたへて妻つまとなさんと 13 カレブの舍弟おとうとケナズの子こオテニエルこれを取とりければすなはちその女むすめアクサをこれが妻つまにあたふ 14 アクサ往󠄃ゆくときおのれの父󠄃ちゝに田圃はたけを求もとめんことを夫をつとにすすめたりしがつひにアクサ驢馬ろばより下くだりければカレブこれは何事なにごとぞやといふに
 443㌻ 
15 答こたへけるはわれに惠賜めぐみをあたへよなんぢ南みなみの地ちをわれにあたへたればねがはくは源泉いづみをもわれにあたへよとここにおいてカレブ上かみの源泉いづみと下しもの源泉いづみとをこれにあたふ

16 モーセの外舅しうとケニの子孫しそんユダの子孫しそんと偕ともに棕櫚しゆろの邑まちよりアラドの南みなみなるユダの野のにのぼり來きたりて民たみのうちに住󠄃居すまゐせり 17 茲こゝにユダその兄弟きやうだいシメオンとともに往󠄃ゆきてゼバテに住󠄃すめるカナン人びとを擊うちて盡こと〴〵くこれを滅ほろぼせり是これをもてその邑まちの名なをホルマと呼よぶ〘338㌻〙 18 ユダまたガザと其その境さかひアシケロンとその境さかひおよびエクロンとその境さかひを取とれり 19 ヱホバ、ユダとともに在いましたればかれつひに山地やまちを手てに入いれたりしが谷たにに住󠄃すめる民たみは鐵てつの戰車いくさぐるまをもちたるが故ゆゑにこれを逐󠄃出おひいだすこと能あたはざりき 20 衆ひと〴〵モーセのかつていひし如ごとくヘブロンをカレブに與あたふカレブそのところよりアナクの三人にんの子こをおひ出いだせり 21 ベニヤミンの子孫しそんはエルサレムに住󠄃すめるエブス人びとを追󠄃おひ出いださざりしりかばエブス人びとは今日こんにちに至いたるまでベニヤミンの子孫しそんとともにエルサレムに住󠄃すまふ

22 茲こゝにヨセフの族やからまたベテルをさして攻せめ上のぼるヱホバこれと偕ともに在いましき 23 ヨセフの族やからすなはちベテルを窺察うかがはしむ〔此この邑まちの舊もとの名なはルズなり〕 24 その間者かんじや邑まちより人ひとの出來いできたるを見みてこれにいひけるは請󠄃こふわれらに邑まちの入いり口くちを示しめせさらば汝なんぢに恩慈あはれみを施ほどこさんと 25 彼かれ邑まちの入いり口くちを示しめしたればすなはち刃󠄃やいばをもて邑まちを擊うてり然されど彼かれの人ひとと其その家族やからをばみな縱はなち遣󠄃やりぬ 26 その人ひとヘテ人びとの地ちにゆき邑まちを建󠄄たててルズと名なづけたり今日こんにちにいたるまでこれを其その名なとなす

27 マナセはベテシヤンとその村里むらざとの民たみタアナクとその村里むらざとの民たみドルとその村里むらざとの民たみイプレアムとその村里むらざとの民たみメギドンとその村里むらざとの民たみを逐󠄃おひ出いださざりきカナン人びとはなほその地ちに住󠄃すまひ居をる 28 イスラエルはその强つよくなりしときカナン人びとをして貢みつぎを納󠄃いれしめたりしが之これを全󠄃まつたく追󠄃おひいだすことは爲なさざりき
 444㌻ 

29 エフライムはゲゼルに住󠄃すめるカナン人びとを逐󠄃おひいださざりきカナン人びとはゲゼルにおいてかれらのうちに住󠄃すみ居ゐたり

30 ゼブルンはまたキテロンの民たみおよびナハラルの民たみを逐󠄃おひいださざりきカナン人びとかれらのうちに住󠄃すみて貢みつぎををさむるものとなりぬ

31 アセルはアツコの民たみおよびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの民たみを逐󠄃おひ出いださざりき 32 アセル人びとは其その地ちの民たみなるカナン人びとのうちに住󠄃すみ居ゐたりそはこれを逐󠄃おひ出いださざりしゆゑなり

33 ナフタリはベテシメシの民たみおよびベテアナテの民たみを逐󠄃おひ出いださずその地ちの民たみなるカナン人びとのうちに住󠄃すみ居ゐたりベテシメシとベテアナテの民たみはつひにかれらに貢みつぎを納󠄃をさむるものとなりぬ

34 アモリ人びとダンの子孫しそんを山やまにおひこみ谷たにに下くだることを得えさせざりき 35 アモリ人びとはなほヘレス山やまアヤロン、シヤラビムに住󠄃すまひ居をりしがヨセフの家いへの手力てちから勝󠄃まさりたれば終󠄃つひに貢みつぎを納󠄃をさむるものとなりぬ〘339㌻〙 36 アモリ人びとの界さかひはアクラビムの阪さかよりセラを經へて上うへに至いたれり

第2章

1 ヱホバの使󠄃者つかひギルガルよりボキムに上のぼりていひけるは我われ汝等なんぢらをエジプトより上のぼらしめわが汝なんぢらの先祖ぜんぞに誓ちかひたる地ちに携たづさへ來きたれりまた我われいひけらくわれ汝なんぢらと締むすべる契󠄅約けいやくを絕たえてやぶることあらじ 2 汝なんぢらはこの國くにの民たみと契󠄅約けいやくを締むすぶべからずかれらの祭壇さいだんを毀こぼつべしとしかるに汝なんぢらはわが聲こゑに從したがはざりき汝なんぢら如何いかなれば斯かゝることをなせしや 3 我われまたいひけらくわれ汝なんぢらの前󠄃まへより彼かれらを追󠄃おふべからずかれら反かへりて汝等なんぢらの肋わきを刺さす荊棘いばらとならんまた彼かれらの神々かみ〴〵は汝等なんぢらの罟わなとなるべし
 445㌻ 
4 ヱホバの使󠄃つかひこれらの言ことばをイスラエルのすべての子孫ひと〴〵に語つげしかば民たみ聲こゑをあげて哭なきぬ 5 故ゆゑに其所󠄃そのところの名なをボキム(哭者なくもの)と呼よぶかれら彼所󠄃かしこにてヱホバに祭物そなへものを獻さゝげたり

6 ヨシユア民たみを去さらしめたればイスラエルの子孫ひと〴〵おのおのその領地りやうちにおもむきて地ちを獲えたり 7 ヨシユアの世よにありし間あひだまたヨシユアより後あとに生いきのこりたる長老としより等たちの世よにありしあひだ民たみはヱホバに事つかへたりこの長老としより等たちはヱホバのかつてイスラエルのために成󠄃なしたまひし諸もろ〳〵の大おほいなる行爲わざを見みしものなり 8 ヱホバの僕しもべヌンの子こヨシユア百十歳じつさいにて死しねり 9 衆人ひと〴〵エフライムの山やまのテムナテヘレスにあるかれらの產業さんげふの地ちにおいてガアシ山やまの北きたにこれを葬はうむれり 10 かくてまたその時代じだいのものことごとくその先祖せんぞのもとにあつめられその後のちに至いたりて他ほかの時代じだいおこりしが是これはヱホバを識しらずまたそのイスラエルのために爲なしたまひし行爲わざをも識しらざりき

11 イスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバのまへに惡あしきことを作なしてバアリムにつかへ 12 かつてエジプトの地ちよりかれらを出いだしたまひしその先祖せんぞの神かみヱホバを棄すてて他ほかの神かみすなはちその四周󠄃めぐりなる國民くにたみの神かみにしたがひ之これに跪ひざまづきてヱホバの怒いかりを惹起󠄃ひきおこせり 13 即すなはちかれらヱホバをすててバアルとアシタロテに事つかへたれば 14 ヱホバはげしくイスラエルを怒いかりたまひ掠かすむるものの手てにわたして之これを掠かすめしめかつ四周󠄃めぐりなるもろもろの敵てきの手てにこれを賣うりたまひしかばかれらふたゝびその敵てきの前󠄃まへに立たつことを得えざりき 15 かれらいづこに往󠄃ゆくもヱホバの手てこれに災わざはひをなしぬ是こはヱホバのいひたまひしごとくヱホバのこれに誓ちかひたまひしごとしここにおいてかれら惱なやむこと甚はなはだしかりしが〘340㌻〙

16 ヱホバ士師さばきつかさを立たてたまひたればかれらこれを掠かすむるものの手てよりすくひ出いだしたり
 446㌻ 
17 然しかるにかれらその士師さばきつかさにもしたがはず反かへりて他ほかの神かみを慕したひて之これと淫いんをおこなひ之これに跪ひざまづき先祖せんぞがヱホバの命令めいれいに從したがひて步あゆみたることろの道󠄃みちを頓とみに離はなれ去さりてその如ごとくには行おこなはざりき 18 かれらのためにヱホバ士師さばきつかさを立たてたまひし時ときに方あたりてはヱホバつねにその士師さばきつかさとともに在いましその士師さばきつかさの世よに在ある間あひだはヱホバかれらを敵てきの手てよりすくひ出いだしたまへり此こはかれらおのれを虐󠄃しへたげくるしむるものありしを呻うめきかなしめるによりてヱホバ之これを哀あはれみたまひたればなり 19 されどその士師さばきつかさの死しにしのちまた戻󠄃そむきて先祖せんぞよりも甚はなはだしく邪󠄅曲よこしまを行おこなひ他ほかの神かみにしたがひてこれに事つかへ之これに跪ひざまづきておのれの行爲わざを息やめずその頑󠄂固かたくななる路みちを離はなれざりき 20 是こゝをもてヱホバはげしくイスラエルをいかりていひたまはく此これ民たみはわがかつてその列祖せんぞに命めいじたる契󠄅約けいやくを犯をかし吾わが聲こゑに從したがはざるがゆゑに 21 我われもまたいまよりはヨシユアがその死しにしときに存のこしおけるいづれの國民くにたみをもかれらのまへより逐󠄃おひはらはざるべし 22 此こは我われイスラエルがその先祖せんぞの守まもりしごとくヱホバの道󠄃みちを守まもりてこれに步あゆむやいなやを試こゝろみんがためなりと 23 ヱホバはこれらの國民くにたみを逐󠄃おひはらふことを速󠄃すみやかにせずして之これを遺󠄃のこしおきてヨシユアの手てに付わたしたまはざりしなり

第3章

1 ヱホバが凡すべてカナンの諸もろ〳〵の戰爭たたかひを知しらざるイスラエルの者ものどもをこころみんとて遺󠄃のこしおきたまへる國民くにたみは左さのごとし 2 〔こはただイスラエルの代々よゝの子孫しそん特ことにいまだ戰爭たたかひを知しらざるものにこれををしへ知しらしめんがためなり〕 3 即すなはちペリシテ人びとの五人にんの伯きみすべてのカナン人びとシドン人びとおよびレバノン山やまに住󠄃すみてバアルヘルモンの山やまよりハマテに入いるところまでを占しめたるヒビ人びと是これなり 4 これらをもてイスラエルをこころみかれらがヱホバのモーセによりてその先祖せんぞに命めいじたまひし命令めいれいに遵󠄅したがふや否いなやを可知しるべかりしなり 5 イスラエルの子孫ひと〴〵はカナン人びとヘテ人びとアモリ人びと 6 ペリジ人びとヒビ人びとエブス人びとのうちに住󠄃すみかれらの女むすめを妻つまに娶めとりまたおのれの女むすめをかれらの子こに與あたへかつかれらの神かみに事つかへたり
 447㌻ 

7 斯かくイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバのまへに惡あくをおこなひ己おのれの神かみなるヱホバをわすれてバアリムおよびアシラに事つかへたり 8 是こゝにおいてヱホバはげしくイスラエルを怒いかりてこれをメソポタミヤの王わうクシヤンリシヤタイムの手てに賣うり付わたしたまひしかばイスラエルの子孫ひと〴〵はおよそ八年ねんのあひだクシヤンリシヤタイムにつかへたり〘341㌻〙 9 茲こゝにイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバによばはりしかばヱホバはイスラエルの子孫ひと〴〵の爲ためにひとりの救者すくひてを起󠄃おこして之これを救すくはしめ給たまふすなはちカレブの舍弟をとうとケナズの子こオテニエル是これなり 10 ヱホバの靈みたまオテニエルにのぞみたれば彼かれイスラエルを治をさめ戰たゝかひに出いづヱホバ、メソポタミヤの王わうクシヤンリシヤタイムをその手てに付わたしたまひたればオテニエルの手てクシヤンリシヤタイムに勝󠄃かつことを得えたり 11 かくて國くには四十年ねんのあひだ太平󠄃たいへいなりきケナズの子こオテニエルつひに死しねり

12 イスラエルの子孫ひと〴〵復またヱホバの眼めのまへに惡あくをおこなふヱホバかれらがヱホバのまへに惡あくをおこなふによりてモアブの王わうエグロンをつよくなしてイスラエルに敵てきせしめたまへり 13 エグロンすなはちアンモンおよびアマレクの子孫ひと〴〵を招まねき聚あつめ往󠄃ゆきてイスラエルを擊うち椶櫚しゆろの邑まちを取とれり 14 ここにおいてイスラエルの子孫ひと〴〵は十八年ねんのあひだモアブの王わうエグロンに事つかへたりしが

15 イスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバに呼よばはりけるときヱホバかれらの爲ために一個ひとりの救者すくひてを起󠄃おこしたまふすなはちベニヤミン人びとゲラの子こなる左手利捷ひだりぎきのエホデ是これなりイスラエルの子孫ひと〴〵かれを以もてモアブの王わうエグロンに餽物おくりものせり 16 エホデ長ながさ一キユビトなる兩刃󠄃もろはの劍つるぎを作つくらせこれを衣ころものしたに右みぎの股もゝのあたりにおび 17 餽物おくりものを齎もたらしてモアブの王わうエグロンのもとに詣いたるエグロンは甚はなはだ肥こえたる人ひとなりき
 448㌻ 
18 さて餽物おくりものを獻さゝぐることをはりしかば彼かれ餽物おくりものを負󠄅になひ來きたりしものをかへし去さらしめ 19 自みづからはギルガルの傍ほとりなる石像󠄃せきざうの在ある所󠄃ところより引ひきき回かへしていひけるは王わうよ我われ爾なんぢに吿つぐべき密事みつじありと王わう人拂ひとばらひを命めいじたればその旁かたはらに立たつものみな出いで去さりぬ 20 エホデすなはち王わうのところに入いり來きたれり時ときに王わうはひとり上うへなる凉殿すずみどのに坐ざし居ゐたりしがエホデ我われ神かみの命めいに由よりて爾なんぢに傳つたふべきことありといひければ王わうすなはち座ざより起󠄃たつに 21 エホデ左ひだりの手てを出いだし右みぎの股もゝより劍つるぎを取とりてその腹はらを刺させり 22 抦つかもまた刃󠄃やいばとともに入いりたりしが脂肉󠄁あぶら刃󠄃やいばを塞ふさぎて之これを腹はらより拔ぬき出いだすことあたはずその鋒鋩きつさきうしろに出いづ 23 エホデすなはち廊らうをとほりてその後うしろに樓たかどのの戶とを閉とぢてこれを鎖󠄃とざせり

24 その出いでしのち王わうの僕しもべ來きたりて樓たかどのの戶との鎖󠄃とざしたるを見みいひけるは王わうはかならず凉殿すずみどのの間まに足あしを蔽おほひ居をるならんと 25 僕しもべども耻はづるまでに俟居まちゐたれど王わう樓たかどのの戶とをひらかざれば鑰かぎをとりて之これを開ひらき見みるにその君きみは地ちに仆たふれて死しにをる〘342㌻〙

26 エホデは彼等かれらの猶󠄅豫ためらふ間まに逃󠄄のがれて石像󠄃せきざうの在あるところを過󠄃よぎりセイラテに遁󠄅にげゆけり 27 かれ旣󠄁すでに至いたりエフライムの山やまに箛らつぱを吹ふきければイスラエルの子孫ひと〴〵これとともに山やまより下くだるエホデこれを導󠄃みちびけり 28 かれ人衆ひと〴〵にいひけるは我われに續つづいて來きたれヱホバ汝等なんぢらの敵てきモアブ人びとを汝等なんぢらの手てに付わたしたまふなりここにおいてかれらエホデにしたがひて下くだりモアブにおもむくところのヨルダンの津わたりを取とりて一人にんも渡わたることを允ゆるさざりき 29 そのとき彼かれらモアブ人びとおよそ一萬人まんにんを殺ころせり是これ皆みな肥太こえふとりたる勇󠄃士ゆうしなりそのうち一人ひとりも脱のがれたるものなし 30 モアブはその日ひイスラエルの手てに服󠄃ふくせり而しかして國くには八十年ねんの間あひだ太平󠄃たいへいなりき
 449㌻ 

31 エホデの後のちにアナテの子こシヤムガルといふものあり牛うしの策むちを以もてペリシテ人びと六百人にんを殺ころせり此人このひともまたイスラエルを救すくへり

第4章

1 エホデの死しにたるのちイスラエルの子孫ひと〴〵復またヱホバの目前󠄃めのまへに惡あくを行おこなひしかば 2 ヱホバ、ハゾルにて世よを治をさむるカナンの王わうヤビンの手てに之これを賣うりたまふヤビンの軍勢ぐんぜいの長かしらはシセラといふ彼かれ異邦󠄆人ことくにびとのハロセテに住󠄃居すみをり 3 鐵てつの戰車いくさぐるま九百輌りやうを有󠄃もち居ゐて二十年ねんの間あひだイスラエルの子孫ひと〴〵を甚はなはだしく虐󠄃しへたげしかばイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバに呼よばはれり

4 當時そのころラピドテの妻つまなる預言者よげんしやデボラ、イスラエルの士師さばきつかさなりき 5 彼かれエフライムの山やまのラマとベテルの間あひだに在あるデボラの棕櫚しゆろの樹きの下したに坐ざせりイスラエルの子孫ひと〴〵はその許もとに上のぼりて審判󠄄さばきを受うく 6 デボラ人びとをつかはしてケデシ、ナフタリよりアビノアムの子こバラクを招まねきこれにいひけるはイスラエルの神かみヱホバ汝なんぢに斯かく命めいじたまふにあらずやいはく汝なんぢナフタリの子孫ひと〴〵とゼブルンの子孫ひと〴〵とを一萬人まんにんひきゐゆきてタボル山やまにおもむけ 7 我われヤビンの軍勢ぐんぜいの長かしらシセラおよびその戰車いくさぐるまとその群衆ぐんしうとをキシオン河がはに引ひき寄よせて汝なんぢのもとに至いたらせ之これを汝なんぢの手てに付わたすべし 8 バラク之これにいひけるは汝なんぢもし我われとともにゆかば我われ往󠄃ゆくべし然されど汝なんぢもし我われとともに行ゆかずば我われ行ゆかざるべし 9 デボラいひけるは我われかならず汝なんぢとともに往󠄃ゆくべし然されど汝なんぢは今いま往󠄃ゆくところの途󠄃みちにては榮譽ほまれを得うることなからんヱホバ婦󠄃人をんなの手てにシセラを賣うりたまふべければなりとデボラすなはち起󠄃たちてバラクと共ともにケデシに往󠄃ゆけり 10 バラク、ゼブルンとナフタリをケデシに招まねき一萬人まんにんを從したがへて上のぼるデボラもまた之これとともに上のぼれり

11 ここにケニ人びとヘベルといふ者ものあり彼かれはモーセの外舅しうとホバブの裔すゑなるがケニを離はなれてケデシの邊󠄎ほとりなるザアナイムの橡かしの樹きのかたはらにその天てん幕まくを張はり居ゐたり〘343㌻〙
 450㌻ 

12 衆ひと〴〵アビノアムの子こバラクがタボル山やまに上のぼれるよしをシセラに吿つげたりければ 13 シセラそのすべての戰車いくさぐるますなはち鐵てつの戰車いくさぐるま九百輌りやうおよびおのれとともに在あるすべての民たみを異邦󠄆人ことくにびとのハロセテよりキシオン河がはに招まねき集つどへたり 14 デボラ、バラクにいひけるは起󠄃たてよ是これヱホバがシセラを汝なんぢの手てに付わたしたまふ日ひなりヱホバ汝なんぢに先さき立だちて出いでたまひしにあらずやとバラクすなはち一萬人まんにんをしたがへてタボル山やまより下くだる 15 ヱホバ刃󠄃やいばをもてシセラとその諸すべての戰車いくさぐるまおよびその全󠄃軍ぜんぐんをバラクの前󠄃まへに打敗うちやぶりたまひたればシセラ戰車いくさぐるまより飛とび下おり徒步かちだちになりて遁󠄅のがれ走はしれり 16 バラク戰車いくさぐるまと軍勢ぐんぜいとを追󠄃おひ擊うちて異邦󠄆人ことくにびとのハロセテに至いたれりシセラの軍勢ぐんぜいは悉こと〴〵く刃󠄃やいばにたふれて殘のこれるもの一人ひとりもなかりしが

17 シセラは徒步かちだちにて奔はしりケニ人びとヘベルの妻つまヤエルの天てん幕まくに來きたれり是こはハゾルの王わうヤビンとケニ人びとヘベルの家いへとは互たがひに睦むつまじかりしゆゑなり 18 ヤエル出來いできたりてシセラを迎󠄃むかへ之これにいひけるは來きたれわが主しゆよ入いり來きたれ怖おそるるなかれとシセラその天てん幕まくに入いりたればヤエル被ふすまをもてこれを覆󠄄おほへり 19 シセラ之これにいひけるはねがはくは少すこしの水みづをわれに飮のまませよ我われ渇かわけりとヤエルすなはち乳󠄃嚢ちちぶくろを啓󠄃ひらきて之これに飮のませまた之これを覆󠄄おほへり 20 シセラまた之これにいひけるは天てん幕まくの門邊󠄎かどべに立たちて居をれもし人ひと來きたり汝なんぢにとふて誰たれかここに居をるやといはば否いなと答こたふべしと 21 彼かれ疲つかれて熟睡うまいせしかばヘベルの妻つまヤエル天てん幕まくの釘子くぎを取とり手てに鎚󠄃つちを携たづさへてそのかたはらに忍󠄄しのび寄より鬢びんのあたりに釘子くぎをうちこみて地ちに刺さし通󠄃とほしたればシセラすなはち死しにたり 22 バラク、シセラを追󠄃おひ來きたりしときヤエル之これを出いでむかへていひけるは來きたれ我われ汝なんぢの索もとむるところの人ひとを示しめさんとかれそのところに入いりて見みるにシセラ鬢びんのあたりに釘子くぎうたれて死しにたふれをる
 451㌻ 

23 その日ひに神かみカナンの王わうヤビンをイスラエルの子孫ひと〴〵のまへに打敗うちやぶりたまへり 24 かくてイスラエルの子孫ひと〴〵の手てますます强つよくなりてカナンの王わうヤビンに勝󠄃かちつひにカナンの王わうヤビンを亡ほろぼすに至いたれり

第5章

1 その日ひデボラとアビノアムの子こバラク謳うたひていはく 2 イスラエルの首長かしらみちびきをなし民たみまた好このんで出いでたればヱホバを頌󠄃美ほめよ 3 もろもろの王わうよ聽きけもろもろの伯きみよ耳みゝをかたぶけよ我われはそのヱホバに謳うたはん我われはイスラエルの神かみヱホバを讚たゝへん 4 ああヱホバよ汝なんぢセイルより出いでエドムの野のより進󠄃すゝみたまひしとき地ち震ふるひ天てんまた滴したたりて雲水くもみずを滴したたらせたり〘344㌻〙 5 もろもろの山やまはヱホバのまへに撼動ゆるぎ彼かのシナイもイスラエルの神かみヱホバのまへに撼動ゆるげり 6 アナテの子こシヤムガルのときまたヤエルの時ときには大路おほぢは通󠄃行とほる者ものなく途󠄃みち行ゆく人ひとは徑こみちを步あゆみ 7 イスラエルの村莊むら〳〵には住󠄃者すむものなく住󠄃すむ者ものあらずなりけるがつひに我われデボラ起󠄃おこれり我われ起󠄃おこりてイスラエルに母はゝとなる 8 人々ひと〴〵新あらたしき神かみを選󠄄えらみければ戰鬪たたかひ門もんにおよべりイスラエルの四萬人まんにんのうちに盾たて或あるひは鎗やりの見みえしことあらんや 9 吾わが心こゝろは民たみのうちに好このんでいでたるイスラエルの有󠄃司つかさ等たちに傾かたむけり汝なんぢらヱホバを頌󠄃美ほめよ 10 しろき驢馬ろばに乘のるもの毛氈󠄄もうせんに坐ざするものおよび路みち步あゆむ人ひとよ汝なんぢら謳うたふべし 11 矢叫やさけびの聲こゑに遠󠄄とほざかり水みず汲󠄂くむところにおいてヱホバの義たゞしき所󠄃爲わざをとなへそのイスラエルを治理をさめたまふ義たゞしき所󠄃爲わざを唱となへよその時ときヱホバの民たみは門もんに下くだれり 12 興おきよ起󠄃おきよデボラ興おきよ起󠄃おきよ歌うたを謳うたふべし起󠄃たてよバラク汝なんぢの俘虜とりこを擄とらへきたれアビノアムの子こよ 13 其時そのとき民たみの首長かしら等たちの殘餘者のこれるものくだり來きたるヱホバ勇󠄃士ますらをの中うちにいまして我われにくだりたまふ 14 エフライムより出いづる者ものありその根ねアマレクにありベニヤミン汝なんぢのあとにつきて汝なんぢの民たみの中うちにありマキルよりは牧伯つかさびと下くだりゼブルンよりは釆配󠄃さいはひを執とるものいたる
 452㌻ 
15 イッサカルの伯きみたちはデボラとともに居をるイッサカルはバラクとおなじく足あしの進󠄃すゝみて平󠄃地へいちに至いたるルベンの河邊󠄎かはべにて大おほいに心こゝろにはかる事ことあり 16 何故なにゆゑに汝なんぢは圈をりのうちに止とゞまりて羊ひつじの群むれに笛ふえ吹ふくを聽きくやルベンの河邊󠄎かはべにて大おほいに心こゝろに考かんがふることあり 17 ギレアデはヨルダンの彼方かなたに臥ふし居をる何故なにゆゑにダンは舟ふねのかたはらに止とゞまりしやアセルは濱邊󠄎はまべに坐ざしてその港󠄃みなとに臥ふし居をる 18 ゼブルンは生命いのちを捐すてて死しを冐をかせる民たみなり野のの高たかきところに居をるナフタリまた是かくの如ごとし 19 もろもろの王わう來きたりて戰たゝかへる時ときにカナンのもろもろの王わうメギドンの水みづの邊󠄎ほとりにおいてタアナクに戰たゝかへり彼かれら一片ひとひらの貨幣󠄃かねをも獲えざりき 20 天てんよりこれを攻せむるものありもろもろの星ほし其その道󠄃みちを離はなれてシセラを攻せむ 21 キシオンの河かは之これを押おし流ながしぬ是これ彼かの古いにしへの河かはキシオンの河かはなりわが靈魂たましひよ汝なんぢますます勇󠄃いさみて進󠄃すゝめ 22 その時とき馬むまの蹄ひづめは强つよきももの馳はせに馳はするに由よりて地ちを踏ふみ鳴ならせり 23 ヱホバの使󠄃つかひいひけるはメロズを詛のろふべし汝なんぢら重かさね重がさねその民たみを詛のろふべきなり彼等かれら來きたりてヱホバを助たすけずヱホバを助たすけて猛者たけきものを攻せめざればなり 24 ケニ人びとヘベルの妻つまヤエルは婦󠄃女をんなのうちの最もつとも頌󠄃ほむべき者ものなり彼かれは天てん幕まくに居をる婦󠄃女をんなのうち最もつとも頌󠄃ほむべきものなり 25 シセラ水みづを乞こふにヤエル乳󠄃ちゝを與あたふ即すなはち貴たふとき盤うつはに乳󠄃ちゝの油あぶらを盛󠄃もりてささぐ〘345㌻〙 26 ヤエル釘子くぎに手てをかけ右みぎの手てに重おもき椎つちをとりてシセラを打うちその頭かうべを碎くだきその鬢びんのあたりをうちて貫󠄄つらぬく 27 シセラ、ヤエルの足あしの間あひだに屈かがみて仆たふれ偃󠄂ふしその足あしのあはひに屈かがみて仆たふれその屈かがみたる所󠄃ところにて仆たふれ亡うせぬ 28 シセラの母はゝ窓まどより望󠄇のぞみ格子かうしのうちより叫さけびて言いふ彼かれが車くるまのきたること何などて遲󠄃おそきや彼かれが馬むまの步あゆみ何などてはかどらざるやと 29 その賢かしこき侍女こしもとこたへをなす(母はゝまた獨語ひとりごとして斯かくいへり) 30 かれら獲えものしてこれを分󠄃わかたざらんや人ひとごとに一人ひとり二人ふたりの女子をなごを獲えんシセラの獲うるものは彩󠄃いろどれる衣ころもならんその獲うる者ものは彩󠄃いろどれる衣ころもにして文󠄃繍ぬひを施ほどこせる者ものならん即すなはち彩󠄃いろどりて兩面ふたおもに文󠄃繍ぬひをほどこせる衣ころもをえてその頸くびにまとはんと
 453㌻ 
31 ヱホバよ汝なんぢの敵てきみな是かくのごとくに亡ほろびよかしまたヱホバを愛あいするものは日ひの眞󠄃盛󠄃まさかりに昇のぼるが如ごとくなれよかし とかくて後のち國くには四十年ねんのあひだ太平󠄃たいへいなりき

第6章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵またヱホバの目めのまへに惡あくを行おこなひたればヱホバ七年ねんの間あひだ之これをミデアン人びとの手てに付わたしたまふ 2 ミデアン人びとの手てイスラエルにかてりイスラエルの子孫ひと〴〵はミデアン人びとの故ゆゑをもて山やまにある窟いはやと洞穴󠄄ほらあなと要󠄃害󠄅えうがいとをおのれのために造󠄃つくれり 3 イスラエル人びと蒔種たねまきしてありける時をりしもミデアン人びとアマレキ人びと及および東方とうはうの民たみ上のぼり來きたりて押おし寄よせ 4 イスラエル人びとに向むかひて陣ぢんを取とり地ちの產物さんぶつを荒あらしてガザにまで至いたりイスラエルのうちに生命いのちを維つなぐべき物ものを遺󠄃のこさず羊ひつじも牛うしも驢馬ろばも遺󠄃のこさざりき 5 夫それこの衆人ひと〴〵は家畜かちくと天てん幕まくを携たづさへ上のぼり蝗蟲いなごの如ごとくに數󠄄多かずおほく來きたれりその人ひとと駱駝らくだは數󠄄かぞふるに勝󠄃たへず彼かれら國くにを荒あらさんとて入いりきたる 6 かかりしかばイスラエルはミデアン人びとのために大おほいいに衰󠄄おとろへイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバに呼よばはれり

7 イスラエルの子孫ひと〴〵ミデアン人びとの故ゆゑをもてヱホバに呼よばはりしかば 8 ヱホバひとりの預言者よげんしやをイスラエルの子孫ひと〴〵に遣󠄃おくりて言いはしめたまひけるはイスラエルの神かみヱホバ斯かくいひたまふ我われかつて汝なんぢらをエジプトより上のぼらせ汝なんぢらを奴隸どれいたるの家いへより出いだし 9 エジプト人びとの手ておよびすべて汝なんぢらを虐󠄃しへたぐるものの手てより汝なんぢらを拯すくひいだし汝なんぢらの前󠄃まへより彼かれらを追󠄃おひはらひてその邦󠄆土くにを汝なんぢらに與あたへたり 10 我われまた汝なんぢらに言いへり我われは汝なんぢらの神かみヱホバなり汝なんぢらが住󠄃すまひ居をるアモリ人びとの國くにの神かみを懼おそるるなかれとしかるに汝なんぢらは我わが聲こゑに從したがはざりき

11 茲こゝにヱホバの使󠄃者つかひ來きたりてアビエゼル人びとヨアシの所󠄃有󠄃ものなるオフラの橡かしの樹きのしたに坐ざす時ときにヨアシの子こギデオン、ミデアン人びとに奪うばはれざらんために酒榨さかぶねのなかに麥むぎを打うち居ゐたりしが〘346㌻〙 12 ヱホバの使󠄃つかひ之これに現あらはれて剛勇󠄃ますら丈󠄃夫たけをよヱホバ汝なんぢとともに在いますといひたれば
 454㌻ 
13 ギデオン之これにいひけるはああ吾わが主しゆよヱホバ我われらと偕ともにいまさばなどてこれらのことわれらの上うへに及およびたるやわれらの先祖せんぞがヱホバは我われらをエジプトより上のぼらしめたまひしにあらずやといひて我われらに吿つげたりしその諸もろ〳〵の不思議ふしぎなる行爲わざは何處いづくにあるや今いまはヱホバわれらを棄すててミデアン人びとの手てに付わたしたまへり 14 ヱホバ之これを顧󠄃かへりみていひたまひけるは汝なんぢ此この汝なんぢの力ちからをもて行ゆきミデアン人びとの手てよりイスラエルを拯すくひいだすべし我われ汝なんぢを遣󠄃つかはすにあらずや 15 ギデオン之これにいひけるはああ主しゆよ我われ何なにをもてかイスラエルを拯すくふべき視みよわが家いへはマナセのうちの最もつとも弱󠄃よわきもの我われはまた父󠄃ちゝの家いへの最もつとも卑賤いやしきものなり 16 ヱホバ之これにいひたまひけるは我われかならず汝なんぢとともに在あらん汝なんぢは一人いちにんを擊うつがごとくにミデアン人びとを擊うつことを得えん 17 ギデオン之これにいひけるは我われもし汝なんぢのまへに恩めぐみを蒙かうむるならば請󠄃こふ我われと語かたる者ものの汝なんぢなる證據しるしを見みせたまへ 18 ねがはくは我われ復ふたたび汝なんぢに來きたりわが祭物そなへものをたづさへて之これを汝なんぢのまへに供そなふるまでここを去さりたまふなかれ彼かれいひたまひけるは我われ汝なんぢの還󠄃かへるまで待まつべし

19 ギデオンすなはち往󠄃ゆきて山羊やぎの羔こを調󠄃ととのへ粉󠄃こな一エパをもて無酵たねいれぬパンをつくり肉󠄁にくを筺かごにいれ羮󠄃しるを壺つぼに盛󠄃もり橡樹かしのきの下したにもち出いでて之これを供そなへたれば 20 神かみの使󠄃つかひ之これにいひたまひけるは肉󠄁にくと無酵たねいれぬパンをとりて此これ巖いはのうへに置おき之これに羮󠄃しるを斟そゝげとすなはちそのごとくに行おこなふ 21 ヱホバの使󠄃つかひ手てにもてる杖つゑの末端さきを出いだして肉󠄁にくと無酵たねいれぬパンに觸ふれたりしかば巖いはより火ひ燃もええあがり肉󠄁にくと無酵たねいれぬパンを燒やき盡つくせりかくてヱホバの使󠄃つかひ去さりてその目めに見みえずなりぬ 22 ギデオン是こゝにおいて彼かれがヱホバの使󠄃者つかひなりしを覺さとりギデオンいひけるはああ神かみヱホバよ我われ面おもてを合あはせてヱホバの使󠄃者つかひを見みたれば將はた如何いかんせん 23 ヱホバ之これにいひたまひけるは心安こころやすかれ怖おそるる勿なかれ汝なんぢ死しぬることあらじ 24 ここにおいてギデオン彼所󠄃かしこにヱホバのために祭壇さいだんを築きづき之これをヱホバシヤロムと名なづけたり是これは今日こんにちに至いたるまでアビエゼル人びとのオフラに存のこる
 455㌻ 

25 其その夜よヱホバ、ギデオンにいひ給たまひけるは汝なんぢの父󠄃ちゝの少わかき牡牛をうしおよび七歳さいなる第だい二の牛うしを取とり汝なんぢの父󠄃ちゝのもてるバアルの祭壇さいだんを毀こぼち其その上うへなるアシラの像󠄃ざうを斫きり仆たふし 26 汝なんぢの神かみヱホバのためにこの堡砦とりでの頂いたゞきにおいて次󠄄序ついでをただしくし祭壇さいだんを築きづき第だい二の牛うしを取とりて汝なんぢが斫きり倒たふせるアシラの木きをもて燔祭はんさいを供さゝぐべし〘347㌻〙 27 ギデオンすなはちその僕しもべ十人にんを携たづさへてヱホバのいひたまひしごとく行おこなへりされど父󠄃ちゝの家いへのものどもおよび邑まちの人ひとを怖おそれたれば晝ひる之これをなすことを得えず夜よに入いりて之これを爲なせり

28 邑まちの衆ひと〴〵朝󠄃あさ興出おきいでて視みるにバアルの祭壇さいだんは摧くだけ其その上うへなるアシラの像󠄃ざうは斫仆きりたふされて居をり新あらたに築きづける祭壇さいだんに第だい二の牛うしの供そなへてありしかば 29 たがひに此これは誰たが所󠄃爲しわざぞやと言いひつつ尋󠄃たづね問とひけるに此これはヨアシの子こギデオンの所󠄃爲しわざなりといふものありたれば 30 邑まちの人々ひと〴〵ヨアシにむかひ汝なんぢの子こを曳ひき出いだして死しなしめよそは彼かれバアルの祭壇さいだんを摧くだき其その上うへに在ありしアシラの像󠄃ざうを斫仆きりたふしたればなりといふ 31 ヨアシおのれの周󠄃圍󠄃めぐりに立たてるすべてのものにいひけるは汝なんぢらはバアルの爲ために爭論いひあらそふや汝なんぢらは之これを救すくはんとするや之これが爲ために爭論いひあらそふ者ものは朝󠄃あさの中うちに死しぬべしバアルもし神かみならば人ひと其その祭壇さいだんを摧くだきたれば自みづから爭論いひあらそふ可べきなりと 32 是こゝをもて人衆ひと〴〵ギデオンその祭壇さいだんを摧くだきたればバアル自みづから之これといひあらそはんといひて此これ日ひかれをヱルバアル(バアルいひあらそはん)と呼よびなせり

33 茲こゝにミデアン人びとアマレク人びとおよび東方とうはうの民たみ相あひ集あつまりて河かはを濟わたりヱズレルの谷たにに陣ぢんを取とりしが 34 ヱホバの靈みたまギデオンに臨のぞみてギデオン箛らつぱを吹ふきたればアビエゼル人びと集あつまりて之これに從したがふ 35 ギデオン徧あまねくマナセに使󠄃者つかひを遣󠄃おくりしかばマナセ人びとまた集あつまりて之これに從したがふ彼かれまたアセル、ゼブルン及およびナフタリに使󠄃者つかひを遣󠄃おくりしにその人々ひと〴〵も上のぼりて之これを迎󠄃むかふ
 456㌻ 

36 ギデオン神かみにいひけるは汝なんぢかつていひたまひしごとくわが手てをもてイスラエルを救すくはんとしたまはば 37 視みよ我われ一箇ひとつの羊ひつじの毛けを禾塲うちばにおかん露つゆもし羊毛ひつじのけにのみおきて地ちはすべて燥かわきをらば我われ之これによりて汝なんぢがかつて言いひたまひし如ごとく吾わが手てをもてイスラエルを救すくひたまふを知しらんと 38 すなはち斯かくありぬ彼かれ明あくる朝󠄃あさ早はやく興おきいで羊毛ひつじのけをかき寄よせてその毛けより露つゆを搾しぼりしに鉢はちに滿みつるほどの水みづいできたる 39 ギデオン神かみにいひけるは我われにむかひて怒いかりを發はつしたまふなかれ我われをしていま一回ひとたびいはしめたまへねがはくは我われをして羊ひつじの毛けをもていま一回ひとたび試ためさしめたまへねがはくは羊毛ひつじのけのみを燥かわかして地ちには悉こと〴〵く露つゆあらしめたまへと 40 その夜よ神かみかくの如ごとくに爲なしたまふすなはち羊毛ひつじのけのみ燥かわきて地ちには凡すべて露つゆありき

第7章

1 斯かくてヱルバアルと呼よばるるギデオンおよび之これとともにあるすべての民たみ朝󠄃あさ夙つとに興おきいでてハロデの井ゐのほとりに陣ぢんを取とるミデアン人びとの陣ぢんはかれらの北きたの方かたにあたりモレの山やまに沿󠄄そひ谷たにのうちにありき〘348㌻〙

2 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるは汝なんぢとともに在ある民たみは餘あまりに多おほければ我われその手てにミデアン人びとを付わたさじおそらくはイスラエル我われに向むかひ自みづから誇ほこりていはん我われわが手てをもて己おのれを救すくへりと 3 されば民たみの耳みゝに吿示ふれしめしていふべし誰たれにても懼おそれ慄をののくものはギレアデ山やまより歸かへり去さるべしとここにおいて民たみのかへりしもの二萬まん二千人にんあり殘のこりしものは一萬人まんにんなりき

4 ヱホバまたギデオンにいひたまひけるは民たみなほ多おほし之これを導󠄃みちびきて水際みぎはに下くだれ我われかしこにて汝なんぢのために彼かれらを試こゝろみんおほよそ我わが汝なんぢに吿つげて此人このひとは汝なんぢとともに行ゆくべしといはんものはすなはち汝なんぢとともに行ゆくべしまたおほよそ我わが汝なんぢに吿つげて此人このひとは汝なんぢとともに行ゆくべからずといはんものはすなはち行ゆくべからざるなり 5 ギデオン民たみをみちびきて水際みぎはに下くだりしにヱホバ之これにいひたまひけるはおほよそ犬いぬの餂なむるがごとくその舌したをもて水みづを餂なむるものは汝なんぢ之これを別わけおくべしまたおほよそ其その膝ひざを折をり屈かがみて水みづを飮のむものをも然しかすべしと
 457㌻ 
6 手てを口くちにあてて水みづを餂なめしものの數󠄄かずは三百人にんなり餘ほかの民たみは盡こと〴〵くその膝ひざを折をり屈かがみて水みづを飮のめり 7 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるは我われ水みづを餂なめたる三百人にんの者ものをもて汝なんぢらを救すくひミデアン人びとを汝なんぢの手てに付わたさん餘ほかの民たみはおのおの其所󠄃そこに歸かへるべしと 8 ここにおいて彼かれら民たみの兵粮ひやうらうとその箛らつぱを手てにうけとれりギデオンすなはちすべてのイスラエル人びとを各自おの〳〵その天てん幕まくに歸かへらせ彼かの三百人にんを留とどめおけり時ときにミデアン人びとの陣ぢんはその下したの谷たにのなかにありき

9 その夜よヱホバ、ギデオンにいひたまはく起󠄃たてよ下くだりて敵てき陣ぢんに入いるべし我われ之これを汝なんぢの手てに付わたすなり 10 されど汝なんぢもし下くだることを怖おそれなば汝なんぢの僕しもべフラを伴󠄃ともなひ陣ぢん所󠄃しよに下くだりて 11 彼かれらのいふ所󠄃ところを聞きくべし然しかせば汝なんぢの手て强つよくなりて汝なんぢ敵てき陣ぢんにくだることを得えんとギデオンすなはち僕しもべフラとともに下くだりて陣ぢん中ちうにある隊󠄄伍たいごのほとりに至いたるに 12 ミデアン人びとアマレク人びとおよびすべて東方とうはうの民たみは蝗蟲いなごのごとくに數󠄄衆かずおほく谷たにのうちに偃󠄂ふしをりその駱駝らくだは濱はまの砂いさごの多おほきがごとくにして數󠄄かぞふるに勝󠄃たへず 13 ギデオン其處そこに至いたりしに或ある人ひとその伴󠄃侶ともに夢ゆめを語かたりて居をりすなはちいふ我われ夢ゆめを見みたりしが夢ゆめに大おほ麥むぎのパンひとつミデアンの陣ぢん中ちうに轉まろびいりて天てん幕まくに至いたり之これをうち仆たふし覆󠄄くつがへしたれば天てん幕まく倒たふれ臥ふせり 14 其その伴󠄃侶とも答こたへていふ是これイスラエルの人ひとヨアシの子こギデオンの劍つるぎに外ほかならず神かみミデアンとすべての陣ぢん營えいを之これが手てに付わたしたまふなりと〘349㌻〙

15 ギデオン夢ゆめの説話ものがたりとその解釋ときあかしを聞きくしかば拜はいをなしてイスラエルの陣ぢん所󠄃しよにかへりいひけるは起󠄃たてよヱホバ汝なんぢらの手てにミデアンの陣ぢんをわたしたまふと 16 かくて三百人にんを三隊󠄄みてにわかち手てに手てに箛らつぱおよび空󠄃瓶からつぼを取とらせその瓶つぼのなかに燈火ともしびをおかしめ 17 これにいひけるは我われを視みてわが爲なすところにならへ我わが敵てき陣ぢんの邊󠄎ほとりに至いたらんときに爲なすごとく汝なんぢらも爲なすべし
 458㌻ 
18 我われおよびわれとともに在あるものすべて箛らつぱを吹ふかば汝なんぢらもまたすべて陣ぢん營えいの四方しはうにて箛らつぱを吹ふき此これヱホバのためなりギデオンのためなりといへと

19 而しかしてギデオンおよび之これとともなる百人にん中更󠄃ちうかうの初はじめに陣ぢん營えいの邊󠄎ほとりに至いたるにをりしも番兵ばんぺいを更󠄃代おきかへたるときなりければ箛らつぱを吹ふき手てに携たづさへたる瓶つぼをうちくだけり 20 即すなはち三隊󠄄みくみの兵隊󠄄つはもの箛らつぱを吹ふき瓶つぼをうちくだき左ひだりの手てには燈火ともしびを執とり右みぎの手てには箛らつぱをもちて之これを吹ふきヱホバの劍つるぎギデオンの劍つるぎなるぞと叫さけべり 21 かくておのおのその持場もちばに立たち陣ぢん營えいを取とり圍󠄃かこみたれば敵てき軍ぐんみな走はしり叫さけびてにげゆけり 22 三百人にんのもの箛らつぱを吹ふくにあたりヱホバ敵軍てきぐんをしてみなたがひに同士擊どしうちせしめたまひければ敵軍てきぐんにげはしりてゼレラのベテシツダ、アベルメホラの境さかひおよびタバテに至いたる 23 イスラエルの人々ひと〴〵すなはちナフタリ、アセルおよびマナセ中ぢうより集つどひ來きたりてミデアン人びとを追󠄃擊おひうてり

24 ギデオン使󠄃者つかひをあまねくエフライムの山やまに遣󠄃つかはしていはせけるは下くだりてミデアン人びとを攻せめベタバラにいたる渡口わたしおよびヨルダンを遮󠄄斷とりきるべしと是こゝにおいてエフライムの人ひと盡こと〴〵く集つどひ來きたりてベタバラにいたる渡口わたしおよびヨルダンを取とり 25 ミデアン人びとの君主きみオレブとゼエブの二人ふたりを俘とらへてオレブをばオレブ砦いはの上うへに殺ころしゼエブをばゼエブの酒搾さかぶねのほとりに殺ころしまたミデアン人びとを追󠄃擊おひうちオレブとゼエブの首くびを携たづさへてヨルダンの彼方かなたよりギデオンの許もとにいたる

第8章

1 エフライムの人々ひと〴〵ギデオンにむかひ汝なんぢミデアン人びとと戰たゝかはんとて往󠄃ゆける時ときわれらを召よばざりしが斯かゝることを我われらになすは何故なにゆゑぞといひていたく之これを詰なじりたり 2 ギデオン之これにいひけるは今いま吾わが成󠄃なせるところは汝なんぢらのなせる所󠄃ところに比くらぶべけんやエフライムの拾ひろひ得えし遺󠄃餘のこりの葡萄ぶだうはアビエゼルの收穫とりいれし葡萄ぶだうにも勝󠄃まされるならずや
 459㌻ 
3 神かみはミデアンの群伯きみオレブとゼエブを汝等なんぢらの手てに付わたしたまへりわが成󠄃なしえたるところは汝なんぢらの成󠄃なせる所󠄃ところに比くらぶべけんやとギデオン此この語ことばをのべしかば彼かれらの憤いきどほり解とけたり〘350㌻〙

4 ギデオン自己おのれに從したがへる三百人にんとともにヨルダンに至いたりて之これを濟わたり疲つかれながらも仍なほ追󠄃擊おひうちしけるが 5 遂󠄅つひにスコテの人々ひと〴〵に言いひけるは願ねがはくは我われにしたがへる民たみに食󠄃しよくを與あたへよ彼等かれら疲つかれをるに我われミデアンの王わうゼバとザルムンナを追󠄃行おひゆくなりと 6 スコテの群伯きみ等たちいひけるはゼバとザルムンナの手てすでに汝なんぢの手てのうちに在あるや我われらなんぞ汝なんぢの軍勢ぐんぜいに食󠄃しよくを與あたふべけんや 7 ギデオンいひけるは然しからばヱホバの吾わが手てにゼバをザルムンナを付わたしたまふときに我われ野のの荊いばらと棘おどろとをもて汝なんぢの肉󠄁にくを打うつべしと 8 かくて其所󠄃そこよりペヌエルにのぼりおなじことを彼かれらにのべたるにペヌエルの人ひともスコテの人ひとの答こたへしごとくに答こたへしかば 9 またペヌエルの人ひとにつげていひけるは我われ平󠄃康やすらかに歸かへるときに此この城󠄃樓やぐらを毀こぼつべしと

10 偖さてゼバとザルムンナはその軍勢ぐんぜいおほよそ一萬まん五千人にんをひきゐてカルコルに居をる是これ皆みな東方とうはうの人ひとの全󠄃軍ぜんぐんの中うちの生いき殘のこれるものなり戰死うちじにせし者ものは劍つるぎを拔ぬくところのもの十二萬人まんにんありき 11 ギデオンすなはちノバとヨグベバの東ひがしにて天てん幕まくにすめるものの路みちより上のぼりて敵軍てきぐんの慮おもんぱかりなく居をるを擊うてり 12 ここにおいてゼバとザルムンナにげ走はしりたればギデオン之これを追󠄃擊おひうちミデアンの二人ふたりの王わうゼバとザルムンナを生捕いけどりて悉こと〴〵くその軍勢ぐんぜいを敗やぶれり

13 斯かくてヨアシの子こギデオン、ヘレシの阪さかよりして戰陣いくさよりかへり 14 スコテの人ひとの少壯者わかもの一人ひとりを執とらへて之これに尋󠄃たづねたれば即すなはちスコテの群伯きみたちおよびその長老としより等ら七十七人にんをこれがために書かき錄しるせり 15 ギデオン、スコテの人ひとの所󠄃ところに詣いたりていひけるは汝なんぢらが曾かつて我われを罵のゝしりゼバとザルムンナの手てすでに汝なんぢの手てのうちにあるや我われら何なんぞ汝なんぢの疲つかれたる人ひとに食󠄃しよくをあたふべけんやと言いひたりしそのゼバとザルムンナを見みよと
 460㌻ 
16 すなはちその邑まちの長老としより等たちを執とらへ野のの荊いばらと棘おどろを取とり之これをもちてスコテの人ひとを懲こらし 17 またペヌヘルの城󠄃樓やぐらを毀こぼちて邑まちの人ひとを殺ころせり

18 かくてギデオン、ゼバとザルムンナにいひけるは汝なんぢらがタボルにて殺ころせしものは如何いかなるものなりしや答こたへていふ彼かれらは汝なんぢに似にてみな王わう子じの如ごとくに見みえたり 19 ギデオンいひけるは彼かれらは我わが兄弟きやうだい我わが母はゝの子こなりヱホバは活いく汝なんぢらもし彼かれらを生いかし置おきたらば我われ汝なんぢらを殺ころすまじきをと 20 すなはちその長子ちやうしヱテルに起󠄃たちて彼かれらを殺ころせといひたりしが彼かの少者わかものは年とし尙なほわかかりしかば懼おそれて劍つるぎを拔ぬかざりき〘351㌻〙 21 ここにおいてゼバとザルムンナいひけるは汝なんぢみづから起󠄃たちて我われらを擊うてよ人ひとの如何いかんによりてその力量ちから異ことなる者ものなりとギデオンすなはち起󠄃たちてゼバとザルムンナを殺ころしその駱駝らくだの頸くびにかけたる半󠄃はん月󠄃げつの飾󠄃かざりを取とれり

22 茲こゝにイスラエルの衆ひと〴〵ギデオンにいひけるは汝なんぢミデアンの手てより我われらを救すくひたれば汝なんぢと汝なんぢの子こ及および汝なんぢの孫まご我われらを治をさめよ 23 ギデオン之これにいひけるは我われ汝なんぢらを治をさむることをせじまた我わが子こも汝なんぢらを治をさむべからずヱホバ汝なんぢらを治をさめたまふべし 24 ギデオンまた之これにいひけるは我われ汝なんぢらにひとつの願ねがふべきことあり汝なんぢらおのおの掠取ぶんどりの環󠄃わを我われにあたへよと是こは彼かれらイシマエル人びとなるをもて金きんの環󠄃わを着つけたるに由よる 25 衆ひと〴〵答こたへけるは我われら悅よろこんで之これを與あたへんとて衣ころもを布しきおのおの掠取ぶんどりの環󠄃わを其そのうちに投なげいれたり 26 ギデオンが求もとめ得えたる金きんの環󠄃わの重量おもさは金きん一千七百シケルなり外ほかに半󠄃はん月󠄃げつの飾󠄃かざりおよび耳みゝ環󠄃わとミデアンの王わうたちの着きたる紫むらさきのころもおよび駱駝らくだの頸くびにかけたる鏈くさりなどもありき 27 ギデオン之これをもて一箇ひとつのエポデを造󠄃つくり之これをおのれの郷里さとオフラに藏をさむイスラエルみなこれを慕したひてこれと淫いんをおこなふこの物ものギデオンと其その家いへを陷おとしいるる罟わなとなりぬ 28 ミデアン人びとは是かくの如ごとくイスラエルの子孫ひと〴〵に攻せめふせられてふたゝびその頭かしらを擡もたぐることを得えざりきかくて國くにはギデオンの世よにある中うち四十年ねんの間あひだ平󠄃穩おだやかにてありき
 461㌻ 

29 ヨアシの子こヱルバアル往󠄃ゆきておのれの家いへに住󠄃すめり 30 ギデオンは妻つまを多おほく有󠄃もちたれば其その身みより出いでたる子こ七十人にんありき 31 シケムに居をりしその妾てかけまたひとりの子こを產うみたれば之これをアビメレクと名なづけたり 32 ヨアシの子こギデオン妙齡よきよはひに邁すゝみて死しにアビエゼル人びとのオフラに在あるその父󠄃ちゝヨアシの墓はかに葬はうむられたり

33 ギデオンの死しねるに及およびてイスラエルの子孫ひと〴〵復またひるがへりてバアルを慕したひて之これと淫いんをおこなひバアルベリテをおのれの神かみと爲なせり 34 イスラエルの子孫ひと〴〵その四周󠄃まはりのもろもろの敵てきの手てよりおのれを救すくひ出いだしたまひし神かみヱホバを記憶おぼえず 35 またヱルバアルといふギデオンがイスラエルになせし諸もろ〳〵の善行よきわざにしたがひて彼かれの家いへを厚あつく待あしらふことをせざりき

第9章

1 ヱルバアルの子こアビメレク、シケムに往󠄃ゆきその母はゝの兄弟きやうだいのもとに至いたりて彼かれらおよびすべて其その母はゝの父󠄃ちゝの家いへの一族いちぞくに語かたりて云いひけるは 2 ねがはくはシケムのすべての民たみの耳みゝに斯かく吿つげよヱルバアルのすべての子こ七十人にんして汝なんぢらを治をさむると一人ひとりして汝なんぢらを治をさむると孰いづれか汝なんぢらのためによきやまた我われは汝なんぢらの骨こつ肉󠄁にくなるを記おぼえよと〘352㌻〙 3 その母はゝの兄弟きやうだいアビメレクのことにつきて此これ等らの言ことばをことごとくシケムの人々ひと〴〵の耳みゝに語かたりしに是これはわれらの兄弟きやうだいなりといひて心こゝろをアビメレクに傾かたむけ 4 バアルベリテの社やしろより銀ぎん七十をとりて之これに與あたふアビメレクこれをもて遊󠄃蕩いたづらにして輕躁かるはづみなる者等ものどもを傭やとひておのれに從したがはせ 5 オフラに在ある父󠄃ちゝの家いへに往󠄃ゆきてヱルバアルの子こなるその兄弟きやうだい七十人にんを一つの石いしの上うへに殺ころせり但たゞしヱルバアルの季すゑの子こヨタムは身みを潜ひそめしに由よりて遺󠄃のこされたり 6 ここにおいてシケムのすべての民たみおよびミロの諸すべての人ひと集あつまり往󠄃ゆきてシケムの碑いしぶみの旁かたはらなる橡樹かしのきの邊󠄎ほとりにてアビメレクを立たてて王わうとなしけるが
 462㌻ 

7 ヨタムにかくと吿つぐるものありければ往󠄃ゆきてゲリジム山やまの巓󠄄いただきに立たち聲こゑを揚あげて號さけびかれらにいひけるはシケムの民たみよ我われに聽きけよ神かみまた汝なんぢらに聽きゝたまはん 8 樹木きぎ出いでておのれのうへに王わうを立たてんとし橄欖かんらんの樹きに汝なんぢわれらの王わうとなれよといひけるに 9 橄欖かんらんの樹き之これにいふ我われいかで人ひとの我われに取とりて神かみと人ひととを崇あがむるところのそのわが油あぶらを棄すてて往󠄃ゆきて樹木きぎの上うへに戰そよぐべけんやと 10 樹木きぎまた無花果樹いちじくのきに汝なんぢ來きたりて我われらの王わうとなれといひけるに 11 無花果樹いちじくのき之これにいひけらく我われいかでわが甜美うまさとわが善よき果みを棄すてて往󠄃ゆきて樹木きぎの上うへに戰そよぐべけんやと 12 樹木きぎまた葡萄ぶだうの樹きに汝なんぢ來きたりて我われらの王わうとなれよといふに 13 葡萄ぶだうの樹き之これにいひけるは我われいかで神かみと人ひとを悅よろこばしむるわが葡萄ぶだう酒さけを棄すてて往󠄃ゆきて樹木きぎの上うへに戰そよぐべけんやと 14 ここにおいてすべての樹木きぎ荊いばらに汝なんぢ來きたりて我われらの王わうとなれよといひければ 15 荊いばら樹木きぎにいふ汝なんぢらまことに我われを立たてて汝なんぢらの王わうと爲なさば來きたりて我わが庇蔭かげに托よれ然しかせずば荊いばらより火ひ出いでてレバノンの香柏かうはくを燒やき殫つくすべしと 16 抑そも〳〵汝なんぢらがアビメレクを立たてて王わうとなせしは眞󠄃實まことと誠󠄃意まごころをもて爲なせしことなるや汝等なんぢらはヱルバアルと其その家いへを善よく待あしらひかれの手てのなせし所󠄃ところに循したがひて之これにむくいしや 17 夫それわが父󠄃ちゝは汝なんぢらのため戰たゝかひ生命いのちを惜をしまずして汝なんぢらをミデアンの手てより救すくひ出いだしたるに 18 汝なんぢら今日こんにちおこりてわが父󠄃ちゝの家いへを攻せめその子こ七十人にんを一つの石いしの上うへに殺ころしその侍妾こしもとの子こアビメレクは汝なんぢらの兄弟きやうだいなるをもて之これを立たててシケムの民たみの王わうとなせり 19 汝なんぢらが今日こんにちヱルバアルとその家いへになせしこと眞󠄃實まことと誠󠄃意まごころをもてなせし者ものならば汝なんぢらアビメレクのために悅よろこべ彼かれも汝なんぢらのために悅よろこぶべし〘353㌻〙 20 若もし然しからずばアビメレクより火ひいでてシケムの民たみとミロの家いへを燬やきつくさんまたシケムの民たみとミロの家いへよりも火ひいでてアビメレクを燬やきつくすべしと 21 かくてヨタム走はしり遁󠄅のがれてベエルに往󠄃ゆきその兄弟きやうだいアビメレクの面かほを避󠄃さけて彼所󠄃かしこに住󠄃すめり
 463㌻ 

22 アビメレク三年としの間あひだイスラエルを治をさめたりしが 23 神かみアビメレクとシケムの民たみのあひだに惡あく鬼きをおくりたまひたればシケムの民たみアビメレクを欺あざむくにいたる 24 是これヱルバアルの七十人にんの子こが受うけたる殘忍󠄄むごさと彼かれらの血ちのこれを殺ころせしその兄弟きやうだいアビメレクおよび彼かれの手てに力ちからをそへてその兄弟きやうだいを殺ころさしめたるシケムの人々ひと〴〵に報むくい來きたるなり 25 シケムの人ひと伏ふく兵へいを山やまの巓󠄄いただきに置おきて彼かれを窺うかゞはしめ其その途󠄃みちを經へて傍かたはらを過󠄃すぐる者ものを凡すべて褫󠄃はがしめたり或ある人ひと之これをアビメレクに吿つぐ

26 ここにエベデの子こガアル其その兄弟きやうだいとともにシケムに越こえゆきたりしかばシケムの民たみかれを恃たのめり 27 民たみ田野はたけに出いでて葡萄ぶだうを收穫とりいれこれを踐ふみ絞󠄃しぼりて祭禮まつりをなしその神かみの社やしろに入いり食󠄃くらひかつ飮のみてアビメレクを詛のろふ 28 エベデの子こガアルいひけるはアビメレクは如何いかなるものシケムは如何いかなるものなればか我われら彼かれに從したがふべき彼かれはヱルバアルの子こに非あらずやゼブルその輔佐ほさなるにあらずやむしろシケムの父󠄃ちゝハモルの一族やからに事つかふべし我われらなんぞ彼かれに事つかふべけんや 29 嗚呼あゝ此この民たみを吾わが手てに屬つかしむるものもがな然されば我われアビメレクを除のぞかんと而しかしてガアル、アビメレクに汝なんぢの軍勢ぐんぜいを益まして出いできたれよと言いへり

30 邑まちの宰つかさゼブル、エベデの子こガアルの言ことばをききて怒いかりを發おこし 31 私ひそかに使󠄃者つかひをアビメレクに遣󠄃おくりていひけるはエベデの子こガアル及およびその兄弟きやうだいシケムに來きたり邑まちをさわがして汝なんぢに敵てきせしめんとす 32 然されば汝なんぢ及および汝なんぢと共ともなる民たみ夜よの中うちに興おきて野のに身みを伏ふせよ 33 而しかして朝󠄃あさに至いたり日ひの昇のぼる時とき汝なんぢ夙はやく興出おきいでて邑まちに攻せめかかれガアル及および之これとともなる民たみ出いでて汝なんぢに當あたらん汝なんぢ機きを見みてこれに事ことをなすべし
 464㌻ 

34 アビメレクおよび之これとともなるすべての民たみ夜よの中うちに興出おきいでて四隊󠄄よくみに分󠄃わかれ身みを伏ふせてシケムを伺うかがふ 35 エベデの子こガアル出いでて邑まちの門もんの口くちに立たてるにアビメレク及および之これとともなる民たみその伏ふしたるところより起󠄃おこりしかば 36 ガアル民たみを見みてゼブルにいひけるは視みよ民たみ山やまの峰々みね〳〵より下くだるとゼブル之これに答こたへて汝なんぢ山やまの影かげを見みて人ひとと做なすのみといふ 37 ガアルふたゝび語かたりていひけるは視みよ民たみ地ちの高處たかみより下くだりまた一隊󠄄ひとくみは法術󠄃士はふじゆつしの橡樹かしのきの途󠄃みちより來きたると〘354㌻〙 38 ゼブル之これにいひけるは汝なんぢがかつてアビメレクは何なに者ものなればか我われら之これに事つかふべきといひしその汝なんぢの口くち今いまいづこに在あるや是これ汝なんぢが侮あなどりたる民たみにあらずや今いま乞こふ出いでて之これと戰たゝかへよと 39 ここにおいてガアル、シケム人びとを率󠄃ひきゐ往󠄃ゆきてアビメレクと戰たゝかひしが 40 アビメレク之これを追󠄃おひくづしたればガアル其そのまへより逃󠄄にぐ走はしれりかくて殺ころされて斃たふるるもの多おほくして邑まちの門もんの口くちまでに及およぶ

41 かくてアビメレクはアルマに居をりしがゼブルはガアルおよびその兄弟きやうだい等らを逐󠄃おひいだしてシケムに居をることを得えざらしむ 42 あくる日ひ民たみ田畑はたけに出いでしに人ひと之これをアビメレクに吿つげしかば 43 アビメレクおのれの民たみを率󠄃ひきゐてこれを三隊󠄄みくみに分󠄃わかち野のに埋伏まちぶせして伺うかがふに民たみ邑まちより出來いできたりたればすなはち起󠄃おこりて之これを擊うてり 44 アビメレクおよび之これとともに在ある隊󠄄くみの者ものは襲󠄂おそひゆきて邑まちの門もんの入いり口くちに立たち餘ほかの二隊󠄄ふたくみは野のに在あるすべてのものをおそふて之これを殺ころせり 45 アビメレク其その日ひ終󠄃日ひねもす邑まちを攻せめつひに邑まちを取とりてそのうちの民たみを殺ころし邑まちを破却こぼちて鹽しほを撒布まきぬ

46 シケムの櫓やぐらの人ひとみな之これを聞きゝてベリテ神がみの廟やしろの塔たふに入いりたりしが 47 シケムの櫓やぐらの人ひとのことごとく集あつまれるよしアビメレクに聞きこえければ 48 アビメレク己おのれとともなる民たみをことごとく率󠄃ひきゐてザルモン山やまに上のぼりアビメレク手てに斧をのを取とり木きの枝えだを斫落きりおとし之これをおのれの肩󠄃かたに載のせ偕ともに居をる民たみにむかひて汝なんぢら吾わが爲なすところを見みる急󠄃いそぎてわがごとく爲なせよといひしかば
 465㌻ 
49 民たみもまた皆みなおのおのその枝えだを斫きりおとしアビメレクに從したがひて枝えだを塔たふに倚よせかけ塔たふに火ひをかけて彼等かれらを攻せむここにおいてシケムの櫓やぐらの人ひともまた悉こと〴〵く死しねり男女なんによおよそ一千人にんなりき

50 茲こゝにアビメレク、テベツに赴おもむきテベツに對むかひて陣ぢんを張はりて之これを取とりしが 51 邑まちのなかに一ひとつの堅固けんごなる櫓やぐらありてすべての男女なんによおよび邑まちの民たみみな其所󠄃そこに遁󠄅のがれ往󠄃ゆき後あとを鎖󠄃とざして櫓やぐらの頂やねに上のぼりたれば 52 アビメレクすなはち櫓やぐらのもとに押おし寄よせて之これを攻せめ櫓やぐらの口くちに近󠄃ちかづきて火ひをもて之これを焚やかんとせしに 53 一人ひとりの婦󠄃をんなアビメレクの頭かうべに磨󠄃石うすの上層石うはいしを投なげてその腦骨なうこつを碎くだけり 54 アビメレクおのれの武器えものを執とれる少者わかものを急󠄃いそぎ召よびて之これにいひけるは汝なんぢの劍つるぎを拔ぬきて我われを殺ころせおそらくは人ひと吾われをさして婦󠄃をんなに殺ころされたりといはんと其その少者わかもの之これを刺さし通󠄃とほしたればすなはち死しねり 55 イスラエルの人々ひと〴〵はアビメレクの死しにたるを見みておのおのおのれの處ところに歸かへり去さりぬ〘355㌻〙 56 神かみはアビメレクがその七十人にんの兄弟きやうだいを殺ころしておのれの父󠄃ちゝになしたる惡あくに斯かく報むくいたまへり 57 またシケムの民たみのすべての惡あしき事ことをも神かみは彼等かれらの頭かうべに報むくいたまへりすなはちヱルバアルの子こヨタムの詛のろひ彼かれらの上うへに及およべるなり

第10章

1 アビメレクの後のちイッサカルの人ひとにてドドの子こなるプワの子こトラ起󠄃おこりてイスラエルを救すくふ彼かれエフライムの山やまのシヤミルに住󠄃すみ 2 二十三年ねんの間あひだイスラエルを審判󠄄さばきしがつひに死しにてシヤミルに葬はうむらる

3 彼かれの後のちにギレアデ人びとヤイル起󠄃おこりて二十二年ねんの間あひだイスラエルを審判󠄄さばきたり 4 彼かれに子こ三十人にんありて三十の驢馬ろばに乘のる彼等かれら三十の邑まちを有󠄃もてりギレアデの地ちにおいて今日こんにちまでヤイルの村むらととなふるものすなはち是これなり 5 ヤイル死しにてカモンに葬はうむらる

6 イスラエルの子孫ひと〴〵ふたゝびヱホバの目めのまへに惡あくを爲なしバアルとアシタロテ及およびスリヤの神かみシドンの神かみモアブの神かみアンモンの子孫ひと〴〵の神かみペリシテ人びとの神かみに事つかへヱホバを棄すてて之これに事つかへざりき
 466㌻ 
7 ヱホバ烈はげしくイスラエルを怒いかりて之これをペリシテ人びと及およびアンモンの子孫ひと〴〵の手てに賣付うりわたしたまへり 8 其その年としに彼かれらイスラエルの子孫ひと〴〵を虐󠄃しへたげ難なやませりヨルダンの彼方かなたにおいてギレアデにあるところのアモリ人びとの地ちに居をるイスラエルの子孫ひと〴〵十八年ねんの間あひだ斯かくせられたりき 9 アンモンの子孫ひと〴〵またユダとベニヤミンとエフライムの族やからとを攻せめんとてヨルダンを渡わたりしかばイスラエル太いたく苦くるしめり

10 ここにおいてイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバに呼よばはりていひけるは我われらおのれの神かみを棄すててバアルに事つかへて汝なんぢに罪つみを犯をかしたりと 11 ヱホバ、イスラエルの子孫ひと〴〵にいひたまひけるは我われかつてエジプト人びとアモリ人びとアンモンの子孫ひと〴〵ペリシテ人びとより汝なんぢらを救すくひ出いだせしにあらずや 12 又󠄂またシドン人びとアマレク人びと及およびマオン人びとの汝なんぢらを困くるしめしとき汝なんぢら我われに呼よばはりしかば我われ汝なんぢらを彼かれらの手てより救すくひ出いだせり 13 然しかるに汝なんぢら我われを棄すてて他ほかの神かみに事つかふれば我われかさねて汝なんぢらを救すくはざるべし 14 汝なんぢらが擇えらめる神かみ々に往󠄃ゆきて呼よばはれ汝なんぢらの艱難なやみのときに之これをして汝なんぢらを救すくはしめよ 15 イスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバに言いひけるは我われら罪つみを犯をかせりすべて汝なんぢの目めに善よしと見みるところを我われらになしたまへねがはくは唯たゞ今日けふ我われらを救すくひたまへと 16 而しかして民たみおのれの中うちより異ことなる神々かみ〴〵を取とり除のぞきてヱホバに事つかへたりヱホバの心こゝろイスラエルの艱難なやみを見みるに忍󠄄しのびずなりぬ〘356㌻〙

17 茲こゝにアンモンの子孫ひと〴〵集つどひてギレアデに陣ぢんを取とりしがイスラエルの子孫ひと〴〵は聚あつまりてミヅパに陣ぢんを取とれり 18 時ときに民たみギレアデの群伯きみたちたがひにいひけるは誰たれかアンモンの子孫ひと〴〵に打うちむかひて戰たたかひを始はじむべき人ひとぞ其人そのひとをギレアデのすべての民たみの首かしらとなすべしと
 467㌻ 

第11章

1 ギレアデ人びとヱフタはたけき勇󠄃士ゆうしにして妓婦󠄃あそびめの子こなりギレアデ、ヱフタをうましめしなり 2 ギレアデの妻つま子等こどもをうみしが妻つまの子等こら成󠄃長ひととなるにおよびてヱフタをおひいだしてこれにいひけるは汝なんぢは他ほかの婦󠄃をんなの子こなればわれらが父󠄃ちゝの家いへを嗣つぐべきにあらずと 3 ヱフタ其その兄弟きやうだいの許もとより逃󠄄にげさりてトブの地ちに住󠄃すみけるに遊󠄃蕩者いたづらものヱフタのもとに集つどひ來きたりて之これとともに出いづることをなせり

4 程󠄃ほど經へてのちアンモンの子孫しそんイスラエルとたたかふに至いたりしが 5 アンモンの子孫ひと〴〵のイスラエルとたたかへるときにギレアデの長老としより等たちゆきてヱフタをトブの地ちより携來つれきたらんとし 6 ヱフタにいひけるは汝なんぢ來きたりて吾われらの大將たいしやうとなれ我われらアンモンの子孫ひと〴〵とたたかはん 7 ヱフタ、ギレアデの長老としより等たちにいひけるは汝なんぢらは我われを惡にくみてわが父󠄃ちゝの家いへより逐󠄃おひいだしたるにあらずやしかるに今いま汝なんぢらが艱なやめる時ときに至いたりて何なんぞ我われに來きたるや 8 ギレアデの長老としより等たちヱフタにこたへけるは其それがために我われら今いま汝なんぢにかへる汝なんぢわれらとともにゆきてアンモンの子孫ひと〴〵とたたかはばすべて我等われらギレアデにすめるものの首領かしらとなすべしと 9 ヱフタ、ギレアデの長老としより等たちにいひけるは汝なんぢらもし我われをたづさへかへりてアンモンの子孫ひと〴〵とたたかはしめんにヱホバ之これを我われに付わたしたまはば我われは汝なんぢらの首かしらとなるべし 10 ギレアデの長老としより等たちヱフタにいひけるはヱホバ汝なんぢと我われとの間あひだの證者あかしたり我われら誓ちかひつて汝なんぢの言ことばのごとくになすべし 11 是こゝに於おいてヱフタ、ギレアデの長老としより等たちとともに往󠄃ゆくに民たみ之これを立たてておのれの首領かしらとなし大將たいしやうとなせりヱフタ即すなはちミヅパにおいてヱホバのまへにこの言ことばをことごとく陳のべたり

12 かくてヱフタ、アンモンの子孫ひと〴〵の王わうに使󠄃者つかひをつかはしていひけるは汝なんぢと我われの間あひだに何事なにごとありてか汝なんぢわれに攻せめきたりてわが地ちに戰たゝかはんとする 13 アンモンの子孫ひと〴〵の王わうヱフタの使󠄃者つかひに答こたへけるはむかしイスラエル、エジプトより上のぼりきたりし時ときにアルノンよりヤボクにいたりヨルダンに至いたるまで吾わが土地くにを奪うばひしが故ゆゑなり然されば今いま穩便󠄃おだやかに之これを復かへすべし
 468㌻ 
14 ヱフタまた使󠄃者つかひをアンモンの子孫ひと〴〵の王わうに遣󠄃おくりて之これにいはせけるは 15 ヱフタ斯かくいへりイスラエルはモアブの地ちを取とらずまたアンモンの子孫ひと〴〵の地ちをも取とらざりしなり〘357㌻〙 16 夫それイスラエルはエジプトより上のぼりきたれる時ときに曠野あらのを經へて紅海こうかいに到いたりカデシに來きたれり 17 而しかしてイスラエル使󠄃者つかひをエドムの王わうに遣󠄃つかはして言いひけるはねがはくは我われをして汝なんぢの土地くにを經過󠄃とほらしめよと然しかるにエドムの王わう之これをうけがはずまたおなじく人ひとをモアブの王わうに遣󠄃つかはしたれども是これもうべなはざりしかばイスラエルはカデシに留とゞまりしが 18 遂󠄅つひにイスラエル曠野あらのを經へてエドムの地ちおよびモアブの地ちを繞めぐりモアブの地ちの東ひがしの方かたに出いでてアルノンの彼方かなたに陣ぢんを取とれり然されどモアブの界さかひには入いらざりきアルノンはモアブの界さかひなればなり 19 かくてイスラエル、ヘシボンに王わうたりしアモリ人びとの王わうシホンに使󠄃者つかひを遣󠄃つかはせりすなはちイスラエル之これにいひけらくねがはくは我われらをして汝なんぢの土地くにを經過󠄃とほりてわがところにいたらしめよと 20 然しかるにシホン、イスラエルを信しんぜずしてその界さかひをとほらしめずかへつてそのすべての民たみを集あつめてヤハヅに陣ぢんしイスラエルとたたかひしが 21 イスラエルの神かみヱホバ、シホンとそのすべての民たみをイスラエルの手てに付わたしたまひたればイスラエル之これを擊うち敗やぶりてその土地くににすめるアモリ人びとの地ちを悉こと〴〵く手てに入いれ 22 アルノンよりヤボクに至いたるまでまた曠野あらのよりヨルダンに至いたるまですべてアモリ人びとの土地とちを手てに入いれたり 23 斯かくのごとくイスラエルの神かみヱホバは其その民たみイスラエルのまへよりアモリ人びとを逐󠄃おひしりぞけたまひしに汝なんぢなほ之これを取とらんとする乎か 24 汝なんぢは汝なんぢの神かみケモシが汝なんぢに取とらしむるものを取とらざらんやわれらは我われらの神かみヱホバが我われらに取とらしむる物ものを取とらん 25 汝なんぢは誠󠄃まことにモアブの王わうチツポルの子こバラクにまされる處ところありとするかバラク曾かつてイスラエルとあらそひしことありや曾かつて之これとたたかひしことありや
 469㌻ 
26 イスラエルがヘシボンとその村里むらざとアロエルとその村里むらざとおよびアルノンの岸きしに沿󠄄そひたるすべての邑々まち〳〵に住󠄃すめること三百年ねんなりしに汝なんぢなどてかその間あひだに之これを回復とりかへさざりしや 27 我われは汝なんぢに罪つみを犯をかせしことなきに汝なんぢはわれとたたかひて我われに害󠄅がいをくはへんとす願ねがはくは審判󠄄さばきをなしたまふヱホバ今日こんにちイスラエルの子孫ひと〴〵とアンモンの子孫ひと〴〵との間あひだを鞫さばきたまへと 28 しかれどもアンモンの子孫ひと〴〵の王わうはヱフタのいひつかはせる言ことばを聽きゝいれざりき

29 ここにヱホバの靈みたまヱフタに臨のぞみしかばヱフタすなはちギレアデおよびマナセを經過󠄃とほりギレアデのミヅパにいたりギレアデのミヅパよりすすみてアンモンの子孫ひと〴〵に向むかふ 30 ヱフタ、ヱホバに誓願せいぐわんを立たてていひけるは汝なんぢ誠󠄃まことにアンモンの子孫ひと〴〵をわが手てに付わたしたまはば〘358㌻〙 31 我わがアンモンの子孫ひと〴〵の所󠄃ところより安然やすらかに歸かへらんときに我わが家やの戶とより出いできたりて我われを迎󠄃むかふるもの必かならずヱホバの所󠄃有󠄃ものとなるべし我われ之これを燔祭はんさいとなしてささげんと 32 ヱフタすなはちアンモンの子孫ひと〴〵の所󠄃ところに進󠄃すゝみゆきて之これと戰たゝかひしにヱホバかれらをその手てに付わたしたまひしかば 33 アロエルよりミンニテにまで至いたりこれが二十の邑まちを打敗うちやぶりてアベルケラミムにいたり甚はなはだ多おほくの人ひとをころせりかくアンモンの子孫ひと〴〵はイスラエルの子孫ひと〴〵に攻伏せめふせられたり

34 かくてヱフタ、ミヅパに來きたりておのが家いへにいたるに其その女むすめ鼓つづみを執とり舞まひ踴をどりて之これを出いで迎󠄃むかふ是これ彼かれが獨子ひとりごにて其そのほかには男子をのこもなくまた女子をなごも有󠄃あらざりき 35 ヱフタ之これを視みてその衣ころもを裂さきていひけるはああ吾わが女むすめよ汝なんぢ實まことに我われを傷いたましむ汝なんぢは我われを惱なやますものなり其そは我われヱホバにむかひて口くちを開ひらきしによりて改あらたむることあたはざればなり 36 女むすめ之これにいひけるはわが父󠄃ちゝよ汝なんぢヱホバにむかひて口くちをひらきたれば汝なんぢの口くちより言いひ出いだせしごとく我われになせよ其そはヱホバ汝なんぢのために汝なんぢの敵てきなるアンモンの子孫ひと〴〵に仇あたを復かへしたまひたればなり 37 女むすめまたその父󠄃ちゝにいひけるはねがはくは此事このことをわれに允ゆるせすなはち二月󠄃ふたつきの間あひだ我われをゆるし我われをしてわが友等ともだちとともに往󠄃ゆきて山やまにくだりてわが處女をとめたることを歎なげかしめよと
 470㌻ 
38 ヱフタすなはち往󠄃ゆけといひて之これを二月󠄃ふたつきのあひだ出いだし遣󠄃やりぬ女むすめその友等ともだちとともに往󠄃ゆき山やまの上うへにておのれの處女をとめたるを歎なげきしが 39 二月󠄃ふたつき滿みちてその父󠄃ちゝに歸かへり來きたりたれば父󠄃ちゝその誓ちかひし誓願せいぐわんのごとくに之これに行おこなへり女むすめは終󠄃つひに男をとこを知しることなかりき 40 是これよりして年々とし〴〵にイスラエルの女子むすめ等ら往󠄃ゆきて年としに四日よつかほどギレアデ人びとヱフタの女むすめのために哀哭なげくことをなす是これイスラエルの規矩󠄃さだめとなれり

第12章

1 エフライムの人々ひと〴〵つどひて北きたにゆきヱフタにいひけるは汝なんぢ何故なにゆゑに往󠄃ゆきてアンモンの子孫ひと〴〵と戰たゝかひながらわれらをまねきて汝なんぢとともに行ゆかせざりしや我われら火ひをもて汝なんぢの家いへを汝なんぢとともに焚やくべしと 2 ヱフタ之これにいひけるは我われとわが民たみの曾かつてアンモンの子孫ひと〴〵と大おほいに爭あらそひしときに我われ汝なんぢらをよびしに汝なんぢらかれらの手てより我われを救すくふことをせざりき 3 我われ汝なんぢらが我われを救すくはざるを見みたればわが命いのちをかけてアンモンの子孫ひと〴〵の所󠄃ところに攻せめゆきしにヱホバかれらを我わが手てに付わたしたまへり然されば汝なんぢらなんぞ今日けふ我わが許もとに上のぼり來きたりて我われとたたかはんとするやと 4 ヱフタここにおいてギレアデの人ひとをことごとくつどへてエフライムとたたかひしがギレアデの人々ひと〴〵エフライムを擊破うちやぶれり是こはエフライム汝なんぢらギレアデ人びとはエフライムの逃󠄄亡者おちうどにしてエフライムとマナセの中うちにをるなりと言いひしに由よる〘359㌻〙 5 而しかしてギレアデ人びとエフライムにおもむくところのヨルダンの津わたりをとりきりしがエフライム人びとの逃󠄄のがれ來きたる者ものありて我われを渡わたらせよといへばギレアデの人ひと之これに汝なんぢはエフライム人びとなるかと問とひ彼かれもし然しからずと言いふときは 6 また之これに請󠄃こふシボレテといへといふに彼かれその音󠄃おんを正たゞしくいひ得えずしてセボレテと言いへばすなはち之これを引ひき捕とらへてヨルダンの津わたしに屠󠄃ころせりその時ときにエフライム人びとのたふれし者もの四萬まん二千人にんなりき
 471㌻ 

7 ヱフタ六年ねんのあひだイスラエルを審さばきたりギレアデ人びとヱフタつひに死しにてギレアデのある邑まちに葬はうむらる

8 彼かれの後のちにベテレヘムのイブザン、イスラエルを審さばきたり 9 彼かれに三十人にんの男子むすこありまた三十人にんの女子むすめありしがこれをば外ほかに嫁とつがしめてその子息むすこ等らのために三十人にんの女むすめを外ほかより娶めとれり彼かれ七年ねんのあひだイスラエルを審さばきたり 10 イブザンつひに死しにてベテレヘムに葬はうむらる

11 彼かれの後のちにゼブルン人びとエロン、イスラエルを審さばきたりゼブルン人びとエロン十年ねんのあひだイスラエルを審さばきたり 12 ゼブルン人びとエロンつひに死しにてゼブルンの地ちのアヤロンに葬はうむらる

13 彼かれの後のちにピラトン人びとヒレルの子こアブドン、イスラエルを審さばきたり 14 彼かれに四十人にんの男子むすこおよび三十人にんの孫まごありて七十の驢馬ろばに乘のる彼かれ八年ねんのあひだイスラエルを審さばけり 15 ピラトン人びとヒレルの子こアブドンつひに死しにてエフライムの地ちのピラトンに葬はうむらる是これはアマレク人びとの山やまにあり

第13章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵またヱホバのまへにて惡あくを行おこなひしかばヱホバこれを四十年ねんの間あひだペリシテ人びとの手てにわたしたまへり

2 ここにダン人びとの族やからにて名なをマノアとよべるゾラ人びとあり其その妻つまは石婦󠄃うまづめにして子こを生うみしことなし 3 ヱホバの使󠄃つかひその女をんなに現あらはれて之これにいひけるは汝なんぢは石婦󠄃うまづめにして子こを生うみしことあらず然されど汝なんぢ孕はらみて子こをうまん 4 されば汝なんぢつつしみて葡萄ぶだう酒しゆおよび濃こき酒さけを飮のむことなかれまたすべて穢けがれたるものを食󠄃くらふなかれ 5 視みよ汝なんぢ孕はらみて子こを產うまん其それの頭かうべには剃刀かみそりをあつべからずその兒こは胎はらを出いづるよりして神かみのナザレ人びと〔神かみに身みを獻さゝげし者もの〕たるべし彼かれペリシテ人びとの手てよりイスラエルを拯すくひ始はじめんと〘360㌻〙 6 その婦󠄃人をんな來きたりて夫をつとに吿つげて曰いひけるは神かみの人ひと我われにのぞめりその容貌かたちは神かみの使󠄃つかひの容貌かたちのごとくにして甚いとおそろしかりしが我われ其そのいづれより來きたれるやを問とはず彼かれまた其その名なを我われに吿つげざりき
 472㌻ 
7 彼かれ我われにいひけるは視みよ汝なんぢ孕はらみて子こを產うまん然されば葡萄ぶだう酒しゆおよび濃こき酒さけを飮のむなかれまたすべてけがれたるものを食󠄃くらふなかれその兒こは胎はらを出いづるより其その死しぬる日ひまで神かみのナザレ人びとたるべしと

8 マノア、ヱホバにこひ求もとめていひけるはああわが主しゆよ汝なんぢがさきに遣󠄃つかはしたまひし神かみの人ひとをふたゝび我われらにのぞませ之これをして我われらがその產うまるる兒こになすべき事ことを敎をしへしめたまへ 9 神かみマノアの聲こゑをききいれたまひて神かみの使󠄃者つかひ婦󠄃人をんなの田野はたけに坐ざしをる時ときに復また之これにのぞめり時ときに夫をつとマノアは共ともにをらざりき 10 是こゝにおいて婦󠄃をんないそぎ走はしりて夫をつとに吿つげて之これにいひけるは先さき頃ごろ我われにのぞみし人ひとまた我われに現あらはれたりと 11 マノアすなはち起󠄃たちて妻つまのあとに付つきて行ゆき其人そのひとのもとに至いたりて之これに汝なんぢはかつて此この婦󠄃をんなに語言ものいひし人ひとなるかといふに然しかりとこたふ 12 マノアいひけるは汝なんぢの言ことばのごとく成󠄃ならん時ときは其その兒この養󠄄育方そだてかたおよび之これになすべき事ことは如何いかん 13 ヱホバの使󠄃者つかひマノアにいひけるはわがさきに婦󠄃をんなに言いひしところのことどもは婦󠄃をんな之これをつつしむべきなり 14 すなはち葡萄樹ぶだうのきよりいづる者ものは凡すべて食󠄃くらふべからず葡萄ぶだう酒しゆと濃こき酒さけを飮のまずまたすべて穢けがれたるものを食󠄃くらふべからずすべてわが彼かれに命めいじたることどもを彼かれ守まもるべきなり

15 マノア、ヱホバの使󠄃者つかひにいひけるは請󠄃こふ我われらをして汝なんぢを款留ひきとめしめ汝なんぢのまへに山羊羔こやぎを備そなへしめよ 16 ヱホバの使󠄃者つかひマノアにいひける汝なんぢ我われを款留ひきとむるも我われは汝なんぢの食󠄃物しよくもつをくらはじまた汝なんぢ燔祭はんさいをそなへんとならばヱホバにこれをそなふべしとマノアは彼かれがヱホバの使󠄃者つかひなるを知しらざりしなり 17 マノア、ヱホバの使󠄃者つかひにいひけるは汝なんぢの名なはなにぞ汝なんぢの言ことばの效驗しるしあらんときは我われら汝なんぢを崇あがめん 18 ヱホバの使󠄃者つかひ之これにいひけるは我わが名なは不思議ふしぎなり汝なんぢ何故なにゆゑに之これをたづぬるやと 19 マノア山羊羔こやぎと素祭物そなへものとをとり磐いはのうへにて之これをヱホバにささぐ使󠄃者つかひすなはち不思議ふしぎなる事ことをなせりマノアとその妻つま之これを視みる
 473㌻ 
20 すなはち火燄ほのほ壇だんより天てんにあがれるときヱホバの使󠄃者つかひ壇だんの火燄ほのほのうちにありて昇のぼれりマノアと其その妻つまこれを視みをりて地ちにひれふせり

21 ヱホバの使󠄃者つかひそののち重かさねてマノアと其その妻つまに現あらはれざりきマノアつひに彼かれがヱホバの使󠄃者つかひたりしを曉さとれり 22 茲こゝにマノアその妻つまにむかひ我われら神かみを視みたれば必かならず死しぬるならんといふに〘361㌻〙 23 其その妻つま之これにいひけるはヱホバもし我われらを殺ころさんとおもひたまはばわれらの手てより燔祭はんさい及および素祭そさいをうけたまはざりしならんまたこれらの諸すべてのことを我われらに示しめすことをなしこたびのごとく我われらに斯かゝることを吿つげたまはざりしなるべしと 24 かくて婦󠄃をんな子こを產うみてその名なをサムソンと呼よべりその子こ育そだち行ゆくヱホバこれを惠めぐみたまふ 25 ヱホバの靈みたまゾラとエシタオルのあひだなるマハネダンにて始はじめて感動かんどうす

第14章

1 サムソン、テムナテに下くだり、ペリシテ人びとの女むすめにてテムナテに住󠄃すめる一人ひとりの婦󠄃をんなを見み 2 歸かへり上のぼりておのが父󠄃母ちちははに語つげていひけるは我われペリシテ人びとの女むすめにてテムナテに住󠄃すめるひとりの婦󠄃をんなを見みたりされば今いま之これをめとりてわが妻つまとせよと 3 その父󠄃母ちちはは之これにいひけるは汝なんぢゆきて割󠄅禮かつれいを受うけざるペリシテ人びとのうちより妻つまを迎󠄃むかへんとするは汝なんぢが兄弟きやうだい等らの女むすめのうちもしくはわがすべての民たみのうちに婦󠄃女をんな無なきが故ゆゑなるかとしかるにサムソン父󠄃ちゝにむかひ彼かの婦󠄃をんなわがこころに適󠄄かなへば之これをわがために娶めとれと言いへり 4 その父󠄃母ちちはははこの事ことのヱホバより出いでしなるを知しらざりきサムソンはペリシテ人びとを攻せめんと釁ひまをうかがひしなりそは其そのころペリシテ人びとイスラエルを轄をさめ居ゐたればなり

5 サムソン父󠄃母ちちははとともにテムナテに下くだりてテムナテの葡萄園ぶだうばたけにいたるに稚わかき獅子しゝ咆哮ほえたけりて彼かれに向むかひしが 6 ヱホバの靈みたま彼かれにのぞみたれば山羊羔こやぎを裂さくがごとくに之これを裂さきたりしが手てには何なにの武器えものも持もたざりきされどサムソンはその爲なせしことを父󠄃ちゝにも母はゝにも吿つげずしてありぬ
 474㌻ 
7 サムソンつひに下くだりて婦󠄃をんなとうちかたらひしが婦󠄃をんなその心こゝろにかなへり 8 かくて日ひを經へて後のちサムソンかれを娶めとらんとて立たちかへりしが身みを轉めぐらして彼かの獅子しゝの屍しかばねを見みるに獅子しゝの體からだに蜂はちの群むれと蜜みつとありければ 9 すなはちその蜜みつを手てにとりて步あゆみつつ食󠄃くらひ父󠄃母ちちははの許もとにいたりて之これを與あたへけるに彼かれら之これを食󠄃くらへりされど獅子しゝの體からだよりその蜜みつを取とり來きたれることをば彼かれらにかたらざりき

10 斯かくて其その父󠄃ちゝ下くだりて婦󠄃をんなのもとに至いたりしかばサムソン少年わかうどの習󠄃例しならはしにしたがひてそこに饗宴ふるまひをまうけたるに 11 サムソンを見みて三十人にんの者ものをつれ來きたりて之これが伴󠄃侶ともとならしむ 12 サムソンかれらにいひけるは我われ汝なんぢらにひとつの隱語なぞをかけん汝なんぢら七日なぬかの筵宴ふるまひの內うちに之これを解ときてあきらかに之これを我われに吿つげなば我われ汝なんぢらに裏衣はだぎ三十と衣ころも三十襲󠄂かさねをあたふべし 13 然されどもし之これをわれに吿つげ得えずば汝なんぢら我われに裏衣はだぎ三十と衣ころも三十襲󠄂かさねを與あたふべしと彼等かれら之これにいひけるは汝なんぢの隱語なぞをかけて我われらに聽きかしめよ〘362㌻〙 14 サムソン之これにいひけるは食󠄃くらふ者ものより食󠄃物くひもの出いで强つよき者ものより甘あまき物もの出いでたりと彼かれら三日みつかの中うちに之これを解とくことあたはざりしかば

15 第七日なぬかにいたりてサムソンの妻つまにいひけるは汝なんぢの夫をつとを説ときすすめて隱語なぞを我われらに明あかさしめよ然しかせずば火ひをもて汝なんぢと汝なんぢの父󠄃ちゝの家いへを焚やかん汝なんぢらはわれらの物ものをとらんとてわれらを招まねけるなるか然しかるにあらずやと 16 是こゝにおいてサムソンの妻つまサムソンのまへに泣なきていひけるは汝なんぢはわれを惡にくむ而巳のみわれを愛あいせざるなり汝なんぢわが民たみの子孫ひと〴〵に隱語なぞをかけて之これをわれに説ときあかさずとサムソン之これにいふ我われこれをわが父󠄃ちゝや母はゝにも説ときあかさざればいかで汝なんぢに説ときあかすべけんやと 17 婦󠄃をんな七日なぬかの筵宴ふるまひのあひだ彼かれのまへに泣なき居をりしが第七日なぬかめに至いたりてサムソンつひに之これを彼かれに説ときあかせり其そは太いたく强しひたればなり婦󠄃をんなすなはち隱語なぞをおのが民たみの子孫ひと〴〵に明あかせり 18 是こゝにおいて第七日なぬかめに及およびて日ひの沒いるまへに邑まちの人々ひと〴〵サムソンにいひけるは何なにものか蜜みつよりあまからん何いかものか獅子しゝより强つよからんとサムソン之これにいひけるは汝なんぢらわが牝犢めうしをもて耕󠄃たがへさざりしならばわが隱語なぞを解とき得えざるなりと
 475㌻ 
19 茲こゝにヱホバの靈みたまサムソンに臨のぞみしかばサムソン、アシケロンに下くだりてかしこの者もの三十人にんを殺ころしその物ものを奪うばひ彼かれの隱語なぞを解ときし者等ものどもにその衣服󠄃きものを與あたへはげしく怒いかりて其その父󠄃ちゝの家いへにかへり上のぼれり 20 サムソンの妻つまはサムソンの友ともとなり居ゐたるその伴󠄃侶ともびとの妻つまとなりぬ

第15章

1 日ひを經へてのち麥秋むぎかりの時ときにサムソン山羊羔こやぎをたづさへて妻つまのもとを訪とふていひけるは我われ室しつに入いりてわが妻つまに會あはんと然しかるに妻つまの父󠄃ちゝ其その入いることをゆるさず 2 其その父󠄃ちゝすなはちいひけるはわれまことに汝なんぢは彼かの婦󠄃をんなを嫌󠄃きらひたりと意おもひしがゆゑに彼かれを汝なんぢの伴󠄃侶ともたりし者ものに與あたへたり彼かれが妹いもとは彼かれよりも善よきにあらずやねがはくは彼かれに代かへて之これを汝なんぢのものとせよ 3 サムソン彼かれらにいひけるは今回このたびはわれペリシテ人びとに害󠄅がいを加くはふるとも彼かれらに對たいして罪つみなかるべしと 4 サムソンすなはち往󠄃ゆきて山やま犬いぬ三百をとらへ火炬󠄂たいまつをとり尾をと尾ををあはせてその二ふたつの尾をの間あひだに一ひとつの火炬󠄂たいまつを結ゆひつけ 5 火炬󠄂たいまつに火ひをつけてペリシテ人びとのいまだ刈かりざる麥むぎのなかにこれを放はなち入いれその束たばね積つみたるものといまだ刈からざるものを焚やき橄欖かんらんの園はたけにまで及およぼせり 6 ペリシテ人びといひけるは是これは誰たれの行爲しわざなるやこたへて言いふテムナテ人びとの婿むこサムソンなりそは彼かれサムソンの妻つまをとりて其その伴󠄃侶ともなりし者ものに與あたへたればなりとここにおいてペリシテ人びと上のぼりきたりて彼かの婦󠄃をんなとその父󠄃ちゝとを火ひにて燒やきうしなへり〘363㌻〙 7 サムソンかれらに言いふ汝なんぢら斯かくおこなへば我われ汝なんぢらに仇あだをむくはでは止やまじと 8 すなはち脛はぎに腿󠄃もゝに彼かれらを擊うちて大おほいいに之これを殺ころせりかくてサムソンは下くだりてエタムの巖間いはまに居をる

9 ここにおいてペリシテ人びと上のぼり來きたりてユダに陣ぢんを取とりレヒに布しき備そなへたれば 10 ユダの人々ひと〴〵いひけるは汝なんぢら何なにの故ゆゑにわれらに攻せめのぼりたるやとかれらこたへけるはサムソンをしばりて彼かれがわれらに爲なせしごとくかれに爲なさんとてのぼれるなりと
 476㌻ 
11 是こゝをもてユダの人ひと三千人にんエタムの巖間いはまにくだりてサムソンにいふ汝なんぢペリシテ人びとはわれらを轄をさむるものなるを知しらざるや汝なんぢなどてかわれらに斯かゝる事ことをなせしやサムソンかれらにいひけるは我われは彼かれらが我われに爲なせしごとく彼かれらに爲なせしなりと 12 かれらまたサムソンにいひけるは我われらは汝なんぢをしばりてペリシテ人びとの手てにわたさんとて下くだりきたれりサムソンかれらにいひけるは汝なんぢらの自みづからわれを害󠄅がいすまじきことを我われに誓ちかへ 13 彼かれら之これにかたりていふいなわれらはただ汝なんぢを縛󠄃しばりいましめてペリシテ人びとの手てにわたさんのみわれらは必かならず汝なんぢを殺ころさざるべしとすなはち二條ふたすぢの新あらたしき索なはをもてかれをいましめて巖いはより之これを携ひきかへれり

14 サムソン、レヒにいたれるときペリシテ人びと聲こゑを揚あげてかれに近󠄃ちかづきしが時をりしもヱホバの靈みたま彼かれにのぞみたればその腕みうでにかかれる索なはは火ひに焚やけたる麻󠄃あさのごとくになりて手てのいましめ解とけはなれたり 15 サムソンすなはち驢馬ろばのあたらしき腮骨あぎとぼねひとつを見み出いだし手てをのべて之これを取とり其そのをもて一千人にんを殺ころし 16 而しかして言いふ驢馬ろばの腮骨あぎとぼねをもて山やまをきづき山やまをつくる驢馬ろばの腮骨あぎとぼねをもて我われ一千人にんを擊うち殺ころせりと 17 かく言終󠄃いひをはりてその手てより腮骨あぎとぼねをうちすて其處そのところをラマテレヒと名なづけたり 18 時ときに彼かれ渇かわきをおぼゆること甚はなはだしかりしかばヱホバによばはりていふ汝なんぢのしもべの手てをもて汝なんぢこの大おほいなる拯すくひをほどこしたまへるにわれ今いま渇かわきて死しに割󠄅禮かつれいを受うけざるものの手てにおちいらんとすと 19 ここにおいて神かみレヒに在あるくぼめる所󠄃ところを裂さきたまひしかば水みづそこより流ながれいでしがサムソン之これを飮のみたれば精せい神しん舊もとに返󠄄かへりてふたゝび爽さはやかになりぬ故ゆゑに其その名なをエンハッコレ(呼よばはれるものの泉いづみ)と呼よぶ是これ今日こんにちにいたるまでレヒに在あり 20 サムソンはペリシテ人びとの治世よの時ときに二十年ねんイスラエルをさばけり〘364㌻〙

第16章

1 サムソン、ガザに往󠄃ゆきかしこにて一人ひとりの妓あそびめを見みてそれの處ところに入いりしに 2 サムソンここに來きたれりとガザ人びとにつぐるものありければすなはち之これを取とり圍󠄃かこみよもすがら邑まちの門もんに埋伏まちぶせし詰朝󠄃あしたにおよび夜よの明あけたる時ときに之これをころすべしといひてよもすがら靜しづまりかへりて居をる
 477㌻ 
3 サムソン夜半󠄃よなかまでいね夜半󠄃よなかにいたりて興おき邑まちの門もんの扉󠄆とびらとふたつの柱󠄃はしらに手てをかけて楗くわんぬきもろともに之これをひきぬき肩󠄃かたに載のせてヘブロンの向むかひなる山やまの巓󠄄いただきに負󠄅おひのぼれり

4 こののちサムソン、ソレクの谷たにに居をる名なはデリラと言いふ婦󠄃人をんなを愛あいす 5 ペリシテ人びとの群伯きみたちその婦󠄃をんなのもとに上のぼり來きて之これにいひけるは汝なんぢサムソンを説ときすすめてその大おほいいなる力ちからは何なにに在あるかまたわれら如何いかにせば之これに勝󠄃かちて之これを縛󠄃しばりくるしむるを得うべきかを見み出いだせ然さすればわれらおのおの銀ぎん千百枚まいづつをなんぢに與あたふべし 6 ここにおいてデリラ、サムソンにいひけるは汝なんぢの大おほいなる力ちからは何なににあるかまた如何いかにせば汝なんぢを縛󠄃しばりて苦くるしむることを得うるや請󠄃こふ之これをわれにつげよ 7 サムソン之これにいひけるは人ひともし乾かわきしことなき七條ななすぢの新あたらしき繩󠄂なはをもてわれを縛󠄃しばるときはわれ弱󠄃よわくなりて別ほかの人ひとのごとくならんと 8 ここに於おいてペリシテ人びとの群伯きみたち乾かわきしことなき七條ななすぢの新あたらしき繩󠄂なはを婦󠄃をんなにもち來きたりければ婦󠄃をんな之これを以もてサムソンをしばりしが 9 かねて室しつのうちに人ひとしのび居をりて己おのれとともにありたれば斯かくしてサムソンにむかひサムソンよペリシテ人びと汝なんぢに及およぶと言いふにサムソンすなはちその索なはを絕たてりあたかも麻󠄃あさ絲いとの火ひにあひて斷ちぎるるがごとし斯かく其その力ちからの原由もと知しられざりき

10 デリラ、サムソンにいひけるは視みよ汝なんぢわれを欺あざむきてわれに謊󠄃いつはりを吿つげたり請󠄃こふ何なにをもてせば汝なんぢを縛󠄃しばることをうるや今いま我われに吿つげよ 11 彼かれ之これにいひけるはもし人ひと用もちひたることなき新あたらしき索なはをもてわれを縛󠄃しばりいましめなばわれ弱󠄃よわくなりて別ほかの人ひとのごとくならんと 12 是こゝをもてデリラあたらしき索なはをとり其それをもて彼かれを縛󠄃しばりしかして彼かれにいふサムソンよペリシテ人びと汝なんぢにおよぶと時ときに室しつのうちに人ひとしのび居ゐたりしがサムソン絲いとの如ごとくにその索なはを腕うでより絕たちおとせり
 478㌻ 

13 デリラ、サムソンにいひけるに今いままでは汝なんぢわれを欺あざむきて我われに謊󠄃いつはりをつげたるが何なにをもてせば汝なんぢをしばることをうるやわれに吿つげよと彼かれ之これにいひけるは汝なんぢもしわが髮毛かみのけ七繚ななふさを機はたの緯󠄄線よこいととともに織おらばすなはち可よしと 14 婦󠄃をんなすなはち釘くぎをもて之これをとめおきて彼かれにいひけるはサムソンよペリシテ人びと汝なんぢにおよぶとサムソンすなはちその寢ねむりをさまし織機はたの釘くぎと緯󠄄線よこいととを曳拔ひきぬけり〘365㌻〙

15 婦󠄃をんなここにおいてサムソンにいひけるは汝なんぢの心こゝろわれに居をらざるに汝なんぢいかでわれを愛あいすといふや汝なんぢすでに三次󠄄みたびわれをあざむきて汝なんぢが大おほいなる力ちからの何なににあるかをわれに吿つげずと 16 日々ひびにその言ことばをもて之これにせまりうながして彼かれの心こゝろを死しぬるばかりに苦くるしませたれば 17 彼かれつひにその心こゝろをことごとく打うち明あかして之これにいひけるはわが頭かうべにはいまだかつて剃刀かみそりを當あてしことあらずそはわれ母はゝの胎はらを出いづるよりして神かみのナザレ人びとたればなりもしわれ髮かみをそりおとされなばわが力ちからわれをはなれわれは弱󠄃よわくなりて別ほかの人ひとのごとくならんと

18 デリラ、サムソンがことごとく其そのこころを明あかしたるを見み人ひとをつかはしてペリシテ人びとの群伯きみたちを召よびていひけるはサムソンことごとくその心こゝろをわれに明あかしたれば今いまひとたび上のぼり來きたるべしとここにおいてペリシテ人びとの群伯きみたちかの銀ぎんを携たづさへて婦󠄃をんなのもとにいたる 19 婦󠄃をんなおのが膝ひざのうへにサムソンをねむらせ人ひとをよびてその頭髮かみのけ七繚ななふさをきりおとさしめ之これを苦くるしめはじめたるにその力ちからすでにうせさりてあり 20 婦󠄃をんなここにおいてサムソンよペリシテ人びと汝なんぢにおよぶといひければ彼かれ睡眠ねむりをさましていひけるはわれ每つねのごとく出いでて身みを振ふるはさんと彼かれはヱホバのおのれをはなれたまひしを覺さとらざりき 21 ペリシテ人びとすなはち彼かれを執とらへ眼まなこを抉くじりて之これをガザにひき下くだり銅あかがねの鏈くさりをもて之これを繋つなげりかくてサムソンは囚獄ひとやのうちに磨󠄃うすを挽居ひきゐたりしが 22 その髮かみの毛け剃そりおとされてのち復また長のびはじめたり
 479㌻ 

23 茲こゝにペリシテ人びとの群伯きみたち共ともにあつまりてその神かみダゴンに大おほいなる祭物そなへものをささげて祝いはひをなさんとしすなはち言いふわれらの神かみはわれらの敵てきサムソンをわれらの手てに付わたしたりと 24 民たみサムソンを見みておのれの神かみをほめたたへて言いふわれらの神かみはわれらの敵てきたる者ものわれらの地ちを荒あらせしものわれらを數󠄄多あまた殺ころせしものをわれらの手てに付わたしたりと 25 その心こゝろに喜よろこびていひけるはサムソンを召よびてわれらのために戲技󠄂たはむれをなさしめよとて囚獄ひとやよりサムソンを召よびいだせしかばサムソン之これがために戲技󠄂たはむれをなせり彼等かれらサムソンを柱󠄃はしらの間あひだに立たゝしめしに 26 サムソンおのが手てをひきをる少者わかものにいひけるはわれをはなして此これ家いへの倚よりて立たつところの柱󠄃はしらをさぐりて之これに倚よらしめよと 27 その家いへには男女をとこをんな充みちペリシテ人びとの群伯きみたちもまたみな其處そこに居をる又󠄂また屋蓋やねのうへには三千ばかりの男女なんによをりてサムソンの戲技󠄂たはむれをなすを觀みてありき

28 時ときにサムソン、ヱホバに呼よばはりいひけるはああ主しゆヱホバよねがはくは我われを記念おぼえたまへ嗚呼あゝ神かみよ願ねがはくは唯たゞ今いま一度ひとたびわれを强つよくしてわがふたつの眼まなこのひとつのためにだにもペリシテ人びとに仇あだをむくいしめたまへと〘366㌻〙 29 サムソンすなはちその家いへの倚よりてたつところの兩箇ふたつの中柱󠄃なかばしらのひとつを右みぎの手てひとつを左ひだりの手てにかかへて身みをこれによせたりしが 30 サムソン我われはペリシテ人びととともに死しなんといひて力ちからをきはめて身みをかがめたれば家いへはそのなかに居をる群伯きみたちとすべての民たみのうへに倒たふれたりかくサムソンが死しぬるときに殺ころせしものは生いけるときに殺ころせし者ものよりもおほかりき 31 こののちサムソンの兄弟きやうだいおよびその父󠄃ちゝの家族やからことごとく下くだりて之これを取とり携たづさへのぼりてゾラとエシタオルのあひだなる其その父󠄃ちゝマノアの墓はかにはうむれりサムソンがイスラエルをさばきしは二十年ねんなりき

第17章

1 ここにエフライムの山やまの人ひとにて名なをミカとよべるものありしが 2 その母はゝに言いひけるは汝なんぢかつてその千百枚まいの銀ぎんを取とられしことを吾わが聞きくところにて詛のろひて語かたりしが視みよその銀ぎんはわが手てに在あり我われ之これを取とれるなりと母はゝすなはちわが子こよねがはくはヱホバ汝なんぢに祝福さいはひをたまへと言いへり
 480㌻ 
3 彼かれ千百枚まいの銀ぎんをその母はゝにかへせしかば母はゝいひけらくわれわが子このためにひとつの像󠄃ざうを雕きざみひとつの像󠄃ざうを鑄いんためにその銀ぎんをわが手てよりヱホバに納󠄃をさむ然さればわれ今いま之これを汝なんぢにかへすべしと 4 ミカその銀ぎんを母はゝにかへせしかば母はゝその銀ぎん二百枚まいをとりて之これを鑄物師いものしにあたへてひとつの像󠄃ざうをきざませひとつの像󠄃ざうを鑄いさせたり其その像󠄃ざうはミカの家いへに在あり 5 このミカといふ人ひと神かみの殿みやをもちをりエポデおよびテラピムを造󠄃つくりひとりの子こを立たてておのが祭司さいしとなせり 6 此このときにはイスラエルに王わうなかりければ人々ひと〴〵おのれの目めに是よしとみゆることをおこなへり

7 ここにひとりの少者わかうどありてベテレヘムユダに於おいてユダの族やからの中うちにをる彼かれはレビ人びとにしてかしこに寓居やどれるなり 8 この人ひと居をるべきところをたづねてその邑まちベテレヘムユダを去さりしが遂󠄅つひに旅󠄃たびしてエフライムの山やまにゆきてミカの家いへにいたりしに 9 ミカ之これにいひけるは汝なんぢいづこよ來きたれるやと彼かれ之これにいふ我われはベテレヘムユダのレビ人びとなるが居をるべきところをたづねに往󠄃ゆくものなり 10 ミカ之これに言いひけるは汝なんぢわれと偕ともに居をりわがために父󠄃ちゝとも祭司さいしともなれよ然さらばわれ年としに銀ぎん十枚まいおよび衣服󠄃いふく食󠄃物しよくもつを汝なんぢにあたへんとレビ人びとすなはち入いりしが 11 レビ人びとつひにその人ひとと偕ともに居をらんことを肯うけがふ是こゝにおいてその少者わかものはかれの子この一人ひとりのごとくなりぬ〘367㌻〙 12 ミカ、レビ人びとなるこの少者わかものをたてて祭司さいしとなしたればすなはちミカの家いへに居をる 13 ミカここにおいて言いふ今いまわれ知しるヱホバわれに恩惠めぐみをたまはんそはこのレビ人びとわれの祭司さいしとなればなり

第18章

1 當時そのころイスラエルには王わうなかりしがダン人びとの支󠄂派󠄄わかれ其その頃ころ住󠄃すむべき地ちを求もとめたり是こは彼かれらイスラエルの支󠄂派󠄄わかれの中うちにありて其その日ひまで未いまだ產業さんげふの地ちを得えざりしが故ゆゑなり
 481㌻ 
2 ダンの子孫ひと〴〵すなはちゾラとエシタオルよりして自己おのれの族やからの勇󠄃者ゆうしや五人にんを遣󠄃つかはしその境さかひを出いでて土地くにを窺うかゞひ探さぐらしむ即すなはち彼等かれらに言いふ往󠄃ゆきて土地とちを探さぐれと彼等かれらエフライムの山やまにいたりミカの家いへにつきて其處そこに宿やどれり 3 かれらミカの家いへの傍かたはらにある時ときレビ人びとなる少者わかものの聲こゑを聞認󠄃ききとめたれば身みをめぐらして其處そこにいりて之これに言いふ誰たが汝なんぢを此こゝに携つれきたりしや汝なんぢ此處このところにて何なにをなすや此こゝに何なにの用ようあるや 4 其人そのひとかれらに言いひけるはミカ斯々かく〳〵我われを待あしらひ我われを雇󠄃やとひて我われその祭司さいしとなれりと 5 彼等かれらこれに言いふ請󠄃こふ神かみに問とひ我等われらが往󠄃ゆくところの途󠄃みちに利達󠄃さいはひあるや否いなやを我等われらにしらしめよ 6 その祭司さいしかれらに言いひけるは安やすんんじて往󠄃ゆけよ汝なんぢらが往󠄃ゆくところの途󠄃みちはヱホバの前󠄃まへにあるなりと

7 是こゝに於おいて五人にんの者もの往󠄃ゆきてライシに至いたり其處そこに住󠄃すめる人民たみを視みるに顧󠄃慮おもんぱかりなく住󠄃すまひをり其その安穩おだやかにして安固やすらかなることシドン人びとのごとし此この國くにには政權せいけんを握にぎりて人ひとを煩わづらはす者もの絕たえてあらず其そのシドン人びとと隔󠄃へだたること遠󠄄とほくまた他ほかの人民たみと交󠄄まじはることなし 8 斯かくて彼等かれらゾラとエシタオルに返󠄄かへりてその兄弟きやうだい等たちにいたるに兄弟きやうだい等たち如何いかがなりしやと彼等かれらに問とひければ 9 答こたへて言いふ起󠄃たてよ彼等かれらの所󠄃ところに攻せめのぼらん我等われらその地ちを見みるに甚はなはだ善よし汝等なんぢらは安やすんじをるなり進󠄃すゝみいたりてその地ちを取とることを怠おこたるなかれ 10 汝等なんぢら往󠄃ゆかば安固やすらかなる人民たみの所󠄃ところに至いたらんその地ちは堅橫たてよこともに廣ひろし神かみこれを汝なんぢらの手てに與あたへたまふなり此處このところには世よにある物もの一箇ひとつも缺かくることあらず

11 是こゝに於おいてダン人びとの族やからの者もの六百人にん武器ぶきを帶おびてゾラとエシタオルより出いでゆき 12 上のぼりてユダのキリヤテヤリムに陣ぢんを張はれり是こゝをもてその處ところをマハネダンと名なづけしがその名な今日こんにちに存のこる是これはキリヤテヤリムの後うしろにあり 13 彼等かれら其處そこよりエフライム山やまに進󠄃すゝみミカの家いへに至いたりけるに
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14 夫かのライシの國くにを窺うかゞひに往󠄃ゆきたりし五人にんの者ものその兄弟きやうだい等らに吿つげて言いひけるは是等これらの家いへにはエポデ、テラピムおよび雕きざめる像󠄃ざうと鑄いたる像󠄃ざうあるを汝等なんぢら知しるや然されば汝なんぢら今いまその爲なすべきことを考かんがへよと 15 乃すなはち其方そなたに身みをめぐらして夫かのレビ人びとの少者わかものの家いへなるミカの家いへに至いたりてその安否あんぴを問とひけるが〘368㌻〙 16 武器ぶきを帶おびたる六百人にんのダンの子孫ひと〴〵は門もんの入いり口くちに立たてり 17 夫かの土地くにを窺うかゞひに往󠄃ゆきたりし五人にんの者もの上のぼりて其處そこにいりその雕きざめる像󠄃ざうとエポデとテラピムおよび鑄いたる像󠄃ざうを取とりけるが祭司さいしは武器びきを帶おびたる六百人にんの者ものとともに門もんの入いり口くちに立たちゐたり 18 此この人々ひと〴〵ミカの家いへにいりて其その雕きざめる像󠄃ざうとエポデとテラピムと鑄いたる像󠄃ざうとを取とりしかば祭司さいしかれらに汝なんぢら何なにをなすやと言いふに 19 彼等かれらこれに言いひけるは汝なんぢ默もくせよ汝なんぢ手てを口くちにあてて我われらとともに來きたり我われらの父󠄃ちゝとも祭司さいしともなれよかし一人いちにんの家いへの祭司さいしたるとイスラエルの一ひとつの支󠄂派󠄄わかれ一ひとつの族やからの祭司さいしたるとは何いづれか好よきや 20 祭司さいしすなはち心こゝろに悅よろこびてエポデとテラピムと雕きざめる像󠄃ざうとを取とりて民たみの中うちに入いる

21 斯かくてかれら身みをめぐらしその子女こどもと家畜かちくと財寳たからを前󠄃まへにたてて進󠄃すゝみしが 22 ミカの家いへを遙はるかに離はなれし時ときミカの家いへに近󠄃ちかきところの家いへの人々ひと〴〵呼よばはり集つどひてダンの子孫ひと〴〵に追󠄃おひつき 23 ダンの子孫ひと〴〵を呼よびたれば彼等かれら回顧󠄃ふりむきてミカに言いふ汝なんぢ何事なにごとありて集あつまりしや 24 かれら言いひけるは汝なんぢらはわが造󠄃つくれる神々かみ〴〵および祭司さいしを奪うばひさりたれば我われ尙なほ何なにかあらん然しかるに汝等なんぢら何なんぞ我われにむかひて何事なにごとぞやと言いふや 25 ダンの子孫ひと〴〵かれに言いひけるは汝なんぢの聲こゑを我われらの中うちに聞きこえしむるなかれ恐おそらくは心こゝろの荒あらき人々ひと〴〵汝なんぢに擊うちかかるありて汝なんぢおのれの生命いのちと家族やからの生命いのちとを失うしなふにいたらんと 26 而しかしてダンの子孫ひと〴〵進󠄃すゝみゆきけるがミカは彼かれらが己おのれよりも强つよきを見みて身みをめぐらして家いへに返󠄄かへれり

27 彼等かれらミカが造󠄃つくりし者ものとその有󠄃もちし祭司さいしをとりてライシにおもむき平󠄃穩おだやかにして安樂やすらかなる民たみの所󠄃ところにいたり刃󠄃やいばをもて之これを擊うち火ひをもてその邑まちを燬やきたりしが
 483㌻ 
28 其そのシドンと隔󠄃へだたること遠󠄄とほきが上うへに他ほかの人民たみと交󠄄際まじはらざりしによりて之これを救すくふ者ものなかりきその邑まちはベテレホブの邊󠄎ほとりの谷たににあり彼かれら邑まちを建󠄄たてなほして其處そこに住󠄃すみ 29 イスラエルの生うみたるその先祖せんぞダンの名なにしたがひて其その邑まちの名なをダンと名なづけたりその邑まちの名なは本もとはライシなりき 30 斯かくてダンの子孫ひと〴〵その雕きざめる像󠄃ざうを安置かざれりモーセの子こなるゲルシヨムの子こヨナタンとその子孫しそんダンの支󠄂派󠄄わかれの祭司さいしとなりて國くにの奪うばはるる時ときにまでおよべり 31 神かみの家いへのシロにありし間あひだ恒つねに彼等かれらはミカが造󠄃つくりしかの雕きざめる像󠄃ざうを安置かざりおきぬ

第19章

1 其その頃ころイスラエルに王わうなかりし時ときにあたりてエフライムの山やまの奧おくに一人ひとりのレビ人びと寄寓やどりをりベテレヘムユダより一人ひとりの婦󠄃人をんなをとりて妾めかけとなしたるに〘369㌻〙 2 その妾めかけ彼かれに背そむきて姦淫かんいんを爲なし去さりてベテレヘムユダなるその父󠄃ちゝの家いへにかへり其所󠄃そこに四月󠄃よつきといふ日ひをおくれり 3 是こゝに於おいてその夫をつと彼かれをなだめて携つれかへらんとてその僕しもべと二頭ふたつの驢馬ろばをしたがへ起󠄃たちてかれの後あとをしたひゆきければその父󠄃ちゝの家いへに之これを導󠄃みちびきいたりしに女むすめの父󠄃ちゝこれを見みて之これに遇󠄃あふことを悅よろこべり 4 而しかしてその女むすめの父󠄃ちゝなる外舅しうと彼かれをひきとめたれば則すなはち三日みつかこれと共ともに居をり皆みな食󠄃飮くひのみして其所󠄃そこに宿やどりしが 5 四日よつかにおよびて朝󠄃あさ早はやく起󠄃おきあがり彼かれたちて去さらんとしければ女むすめの父󠄃ちゝその婿むこに言いふ少許すこしの食󠄃物しよくもつをもて汝なんぢの心こゝろを强つよくして然しかる後のちに去されよと 6 二人ふたりすなはち坐すわりて共ともに食󠄃飮くひのみしけるが女むすめの父󠄃ちゝその人ひとにいひけるは請󠄃こふ幸さいはひに今いま一夜ひとよを明あかし汝なんぢの心こゝろを樂たのしましめよと 7 其人そのひと起󠄃たちて去さらんとしけるに外舅しうとこれを强しひたれば遂󠄅つひに復また其所󠄃そこに宿とまり 8 五日いつかにおよびて朝󠄃あさはやく起󠄃おきいでて去さらんとしたるに女むすめの父󠄃ちゝこれに言いひけるは請󠄃こふ汝なんぢの心こゝろを强つよくせよと是こゝをもて日ひの昃たくるまでとゞまりて共ともに食󠄃しよくをなしけるが 9 其人そのひとつひに妾めかけおよび僕しもべとともに去さらんとて起󠄃たちあがりければ女むすめの父󠄃ちゝ彼かれに言いふ視みよ今いまは日ひ暮くれなんとす請󠄃こふ今いま一夜ひとよを明あかされよ視みよ日ひ昃たけたり汝なんぢ此こゝにやどりて汝なんぢの心こゝろをたのしませ明日あす蚤はやく起󠄃おきて出いでたち汝なんぢの家いへにいたれよと
 484㌻ 

10 然しかるに其人そのひと止宿とまることを肯うけがはずして起󠄃たちて去さりヱブスの對面むかひに至いたれり是これはエルサレムなり鞍くらおける二ふたつの驢馬ろば彼かれとともにあり妾めかけも彼かれとともなりき 11 彼かれらヱブスの近󠄃傍ほとりにをる時とき日ひはや沒いらんとしければ僕しもべその主人あるじにいひけるは請󠄃こふ來きたれ我等われら身みをめぐらしてヱブス人びとの此この邑まちにいりて其所󠄃そこに宿やどらんと 12 その主人しゆじんこれに言いひけるは我等われらは彼所󠄃かしこに身みをめぐらしてイスラエルの子孫ひと〴〵の邑まちならざる外國よそぐにの人ひとの邑まちにいるべからずギベアに進󠄃すゝみゆかんと 13 すなはちその僕しもべにいひけるは來きたれ我われらギベアかラマか是等これらの處ところの一ひとつに就つきて止宿やどらんと 14 皆みなすすみ往󠄃ゆきけるがベニヤミンのギベアの近󠄃邊󠄎ほとりにて日ひ暮くれたれば 15 ギベアにゆきて宿やどらんとて其所󠄃そこに身みをめぐらし入いりて邑まちの衢ちまたに坐ざしけるに誰たれも彼かれを家いへに接ひきて宿やどらしむる者ものなかりき

16 時ときに一人ひとりの老人としより日ひ暮ぐれに田野はたけの働作はたらきをやめて歸かへりきたる此人このひとはエフライム山やまの者ものにしてギベアに寄寓とゞまれるなり但たゞし此處このところの人ひとはベニヤミン人びとなり 17 彼かれ目めをあげて旅󠄃人たびゞとの邑まちの衢ちまたにをるを見みたり老人としよりすなはちいひけるは汝なんぢは何所󠄃いづくにゆくなるや何所󠄃いづくより來きたれるやと 18 その人ひとこれにいひけるは我われらはベテレヘムユダよりエフライム山やまの奧おくにおもむく者ものなり我われは彼所󠄃かしこの者ものにて旣󠄁すでにベテレヘムユダにゆき今いまヱホバの室いへに詣いたらんとするなるが誰たれもわれを家いへに接ひくものあらず〘370㌻〙 19 然されど驢馬ろばの藁わらも飼蒭かひばもあり又󠄂また我われと汝なんぢの婢しもめおよび僕しもべ等らとともなる少者わかものの用もちふべき食󠄃物くひものも酒さけも在ありて何なにも事缺ことかくるところなし 20 老人としよりいひけるは願ねがはくは汝なんぢ安やすかれ汝なんぢが需もとむる者ものは我われそなへん唯たゞ衢ちまたに宿やどるなかれと 21 かれをその家いへに携つれ驢馬ろばに飼くさかふ彼かれらすなはち足あしをあらひて食󠄃飮くひのみせしが

22 その心こゝろを樂たのしませをる時ときにあたりて邑まちの人々ひと〴〵の邪󠄅よこしまなる者ものその家いへをとりかこみ戶とを打うちたたきて家いへの主人あるじなる老人としよりに言いふ汝なんぢの家いへにきたれる人ひとをひき出いだせ我われらこれを犯をかさんと
 485㌻ 
23 是こゝに於おいて家いへの主人あるじなる人ひとかれらの所󠄃ところにいでゆきてこれに言いひけるは否いなわが兄弟きやうだいよ惡あくをなす勿なかれ此人このひとすでにわが家いへにいりたればこの愚おろかなる事ことをなすなかれ 24 我わが處女をとめなる女むすめと此人このひとの妾めかけとあるにより我われこれを今いまつれいだすべければ汝なんぢらかれらを辱はづかしめ汝等なんぢらの好このむところをこれに爲なせ唯たゞこの人ひとには斯かゝる愚おろかなる事ことを爲なすなかれと 25 然しかるにその人々ひと〴〵これを聽きゝいれざるにより其人そのひとその妾めかけをとりてこれを彼かれらの所󠄃ところにいだしやりければすなはちこれを犯をかして朝󠄃あしたにいたるまで終󠄃夜よもすがらこれを辱はづかしめ日ひのいづる頃ころにいたりて釋はなてり 26 是こゝをもて婦󠄃をんな黎明あけぼのにきたりてその夫をつとのをる彼かの人ひとの家いへの門かどに仆たふれ夜よのあくるまで其處そこに臥ふしをる

27 その主しゆ朝󠄃あしたにおよびておきいで家いへの戶とをひらきて出いで去さらんとせしがその妾めかけの婦󠄃をんなの家いへの門かどにたふれをりて手てを閾しきみの上うへにおくを見みければ 28 これにむかひ起󠄃おきよ我われら出いで往󠄃ゆかんと言いひたれども何なにの答こたへもあらざりき是これによりてその人ひとこれを驢馬ろばにのせたちて己おのれの所󠄃ところにおもむきしが 29 家いへにいたるにおよびて刀かたなをとり其その妾めかけを執とらへて骨ほねぐるみこれを十二分󠄃ぶんにたちわりて之これをイスラエルの四方よもの境さかひにおくりければ 30 之これを見みる者もの皆みないふイスラエルの子孫ひと〴〵がエジプトの地ちより出いでのぼりし日ひより今日こんにちにいたるまで斯かくのごとき事ことは行おこなはれしことなく見みえしことなし思おもひをめぐらし相あひ議はかりて言いふことをせよ

第20章

1 是こゝに於おいてイスラエルの子孫ひと〴〵ダンよりベエルシバにいたりギレアデの地ちにいたるまで皆みな出いできたり其その會衆くわいしう一人いちにんのごとくにしてミヅパに於おいてヱホバの前󠄃まへに集あつまり 2 衆民たみの長かしらたる者ものすなはちイスラエルの諸すべての支󠄂派󠄄わかれの長かしら等たちみづから神かみの民たみの集會あつまりに出いづ劍つるぎをぬくところの步兵ほへい四十萬人まんにんありき 3 ベニヤミンの子孫ひと〴〵はイスラエルの子孫ひと〴〵がミヅパにのぼれることを聞きけり斯かくてイスラエルの子孫ひと〴〵此この惡事あくじの樣さまを語かたれと言いひければ〘371㌻〙 4 彼かの殺ころされし婦󠄃をんなの夫をつとなるレビの人ひとこたへていふ我われわが妾めかけとともにベニヤミンのギベアに宿やどらんとて往󠄃ゆきたるに
 486㌻ 
5 ギベアの人ひと起󠄃おこりたちて我われをせめ夜よの間まに我わがをる家いへをとりかこみて我われを殺ころさんと企くはだて遂󠄅つひにわが妾めかけを辱はづかしめてこれを死しなしめたれば 6 我われわが妾めかけをとらへてこれをたちわり是これをイスラエルの產業さんげふなる全󠄃地ぜんちに遣󠄃おくれり是こは彼かれらイスラエルにおいて淫事たはれわざをなし愚おろかなる事ことをなしたればなり 7 汝等なんぢらは皆みなイスラエルの子孫ひと〴〵なり今いま汝なんぢらの意見おもひと思考かんがへをのべよ

8 民たみみな一人ひとりのごとくに起󠄃たちていひけるは我われらは誰たれもおのれの天てん幕まくにゆかずまた誰たれもおのれの家いへにおもむかじ 9 我われらがギベアになさんところの事ことは是これなりすなはち䰗くじにしたがひて之これを攻せめん 10 我われらイスラエルの諸すべての支󠄂派󠄄わかれの中うちに於おいて百人にんより十人にん千人にんより百人にん萬人まんにんより千人にんを取とりて民たみの糧食󠄃りやうしよくを執とらせ之これをしてベニヤミンのギベアにいたり彼かれらがイスラエルにおこなひたるその愚おろかなる事ことにしたがひて事ことをなさしむべしと 11 斯かくイスラエルの人々ひと〴〵皆みなあつまりて此この邑まちを攻せめんとせしが其その相あひ結むすべること一人いちにんのごとくなりき

12 イスラエルの諸もろ〳〵の支󠄂派󠄄わかれ遍󠄃あまねく人ひとをベニヤミンの支󠄂派󠄄わかれの中うちに遣󠄃つかはして言いひしめけるは汝なんぢらの中うちに此この惡事あくじのおこなはれしは何事なにごとぞや 13 然さればギベアにをるかの邪󠄅よこしまなる人々ひと〴〵をわたせ我われらこれを誅ちうして惡あくをイスラエルに絕たつべしと然しかるにベニヤミンの子孫ひと〴〵はその兄弟きやうだいなるイスラエルの子孫ひと〴〵の言ことばを聽きゝいれざりき 14 却かへつてベニヤミンの子孫ひと〴〵は邑々まち〳〵よりギベアにあつまりて出いでてイスラエルの子孫ひと〴〵と戰たゝかはんとす 15 その時とき邑々まち〳〵より出いでたるベニヤミンの子孫ひと〴〵を數󠄄かぞふるに劍つるぎをぬく所󠄃ところの人ひと二萬まん六千せんあり外ほかにまたギベアの居民ひとありて之これをかぞふるに精せい兵へい七百人にんありき 16 この諸すべての民たみの中うちに左手利ひだりぎきの精せい兵せい七百人にんあり皆みな能よく投石器いしなげをもて石いしを投なぐるに毫末けすじもたがふことなし

17 イスラエルの人ひとを數󠄄かぞふるにベニヤミンを除のぞきて劍つるぎをぬくところの者もの四十萬人まんにんありき是これみな軍人いくさびとなり 18 爰こゝにイスラエルの子孫ひと〴〵起󠄃たちあがりてベテルにのぼり神かみに問とふて我等われらの中うち孰いづれか最初さきにのぼりてベニヤミンの子孫ひと〴〵と戰たゝかふべきやと言いふにヱホバ、ユダ最初さきにと言いひたまふ
 487㌻ 

19 イスラエルの子孫ひと〴〵すなはち朝󠄃あさおきてギベアにむかひて陣ぢんをとりけるが 20 イスラエルの人々ひと〴〵ベニヤミンと戰たゝかはんとて出いでゆきイスラエルの人々ひと〴〵行伍そなへをたててギベアにて彼かれらと戰たゝかはんとしければ〘372㌻〙 21 ベニヤミンの子孫ひと〴〵ギベアより進󠄃すゝみいで其その日ひイスラエル人びと二萬まん二千せんを地ちに擊うち仆たふせり 22 然しかるにイスラエルの民たみの人々ひと〴〵みづから奮ふるひその初はじめの日ひに行伍そなへをたてし所󠄃ところにまた行伍そなへをたてたり 23 而しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵上のぼりゆきてヱホバの前󠄃まへに夕ゆふ暮ぐれまで哭なきヱホバに問とふて言いふ我われ復また進󠄃すゝみよりて吾わが兄弟きやうだいなるベニヤミンの子孫ひと〴〵とたたかふべきやとヱホバ彼かれに攻せめのぼれと言いひたまへり

24 是こゝに於おいてイスラエルの子孫ひと〴〵次󠄄つぎの日ひまたベニヤミンの子孫ひと〴〵の所󠄃ところに攻せめよするに 25 ベニヤミンまた次󠄄つぎの日ひギベアより進󠄃すゝみて之これにいであい再ふたゝびイスラエルの子孫ひと〴〵一萬まん八千人せんにんを地ちに擊うち仆たふせり是これみな劍つるぎをぬくところの者ものなりき 26 斯在かかりしかばイスラエルの子孫ひと〴〵と民たみみな上のぼりてベテルにいたりて哭なき其處そこにてヱホバの前󠄃まへに坐すわりその日ひの夕ゆふ暮ぐれまで食󠄃しよくを斷たち燔祭はんさいと酬恩祭しうおんさいをヱホバの前󠄃まへに獻さゝげ 27 而しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバにとへり(その頃ころは神かみの契󠄅約けいやくの櫃はこ彼處かしこにありて 28 アロンの子こエレアザルの子こなるピネハス當時そのころこれに事つかへたり)即すなはち言いひけるは我われまたも出いでてわが兄弟きやうだいなるベニヤミンの子孫ひと〴〵とたたかふべきや或または息やむべきやヱホバ言いひたまふ上のぼれよ明日あすはわれ汝なんぢの手てにかれらを付わたすべしと

29 イスラエル是こゝに於おいてギベアの周󠄃圍󠄃まはりに伏ふく兵へいを置おき 30 而しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵三日みつか目めにまたベニヤミンの子孫ひと〴〵の所󠄃ところに攻せめのぼり前󠄃まへのごとくにギベアにむかひて行伍そなへをたてたれば
 488㌻ 
31 ベニヤミンの子孫ひと〴〵民たみに出いであひしが遂󠄅つひに邑まちより誘出おびきいだされたり彼等かれら始はじめは民たみを擊うち大路おほぢにて前󠄃まへのごとくイスラエルの人ひと三十じふ人にん許ばかりを殺ころせりその大路おほぢは一筋ひとすぢはベテルにいたり一筋ひとすぢは野ののギベアに至いたる 32 ベニヤミンの子孫ひと〴〵すなはち言いふ彼かれらは初はじめのごとく我われらに擊破うちやぶらると然しかるにイスラエルの人ひとは云いふ我等われら逃󠄄にげて彼かれらを邑まちより大路おほぢに誘おびき出いださんと 33 イスラエルの人々ひと〴〵みなその所󠄃ところを起󠄃たちて去さりバアルタマルに行伍そなへをたてたり而しかして伏ふく兵へいその處ところより即すなはちギベアの野原のはらより起󠄃おこれり 34 イスラエルの全󠄃ぜん軍ぐんの中うちより選󠄄拔えりぬきたる兵つはもの一萬まん來きたりてギベアを襲󠄂おそひ其その戰鬪たたかひはげしかりしがベニヤミン人びとは葘害󠄅わざはひの己おのれにのぞむを知しらざりき 35 ヱホバ、イスラエルのまへにベニヤミンを擊うち敗やぶりたまひしかばイスラエルの子孫ひと〴〵その日ひベニヤミン人びと二萬まん五千せん一百いつぴやく人にんを殺ころせり是これみな劍つるぎをぬくところの者ものなり

36 ベニヤミンの子孫ひと〴〵すなはち己おのれの擊うち敗やぶらるるを見みたり偖さてイスラエルの人々ひと〴〵そのギベアにむかひて設まうけたる所󠄃ところの伏ふく兵へいを恃たのみてベニヤミン人びとを避󠄃さけて退󠄃しりぞきけるが〘373㌻〙 37 伏ふく兵へい急󠄃いそぎてギベアに突つきいり伏ふく兵へい進󠄃すゝみて刃󠄃やいばをもて邑まちを盡こと〴〵く擊うてり 38 イスラエルの人々ひと〴〵とその伏ふく兵へいとの間あひだに定さだめたる合あひ圖󠄃づは邑まちより大おほいなる黑煙󠄃くろけむりをあげんとの事ことなりき 39 イスラエルの人々ひと〴〵戰陣たたかひより引ひき退󠄃しりぞくベニヤミン初はじめが程󠄃ほどはイスラエルの人々ひと〴〵を擊うちて三千ぜん人にん許ばかりを殺ころし乃すなはち言いふ彼等かれらはまことに最初はじめの戰いくさのごとく我等われらに擊うちやぶらると 40 然しかるに火焰ほのほ煙󠄃けむりの柱󠄃はしらなして邑まちより上のぼりはじめしかばベニヤミン人びと後うしろを見みかへりしに邑まちは皆みな煙󠄃けむりとなりて空󠄃そらにのぼる 41 時ときにイスラエルの人々ひと〴〵ふりかへりしかばベニヤミンの人々ひと〴〵葘害󠄅わざはひのおのれに迫󠄃せまるを見みて狼狽うろたへ 42 イスラエルの人々ひと〴〵の前󠄃まへより身みをめぐらして野のの途󠄃みちにおもむきけるが戰鬪たたかひこれに追󠄃おひせまりて遂󠄅つひにその邑々まち〳〵よりいでたる者ものどもその中うちに戰死うちじにす 43 イスラエルの人ひとすなはちベニヤミン人びとをとりまきて之これを追󠄃おひうち容易たやすくこれを踏ふみたふして東ひがしの方かたギベアの對面むかひにまでおよべり
 489㌻ 
44 ベニヤミンの仆たふるる者もの一萬まん八千せん人にん是これみな勇󠄃士ゆうしなり 45 茲こゝに彼等かれら身みをめぐらして野のの方かたににげリンモンの磐いはにいたれりイスラエルの人ひと大路おほぢにて彼等かれら五千せん人にんを伐うちとり尙なほもこれを追󠄃おひうちてギドムにいたりその二千せん人にんを殺ころせり 46 是こゝをもて其その日ひベニヤミンの仆たふれし者ものは劍つるぎをぬくところの人ひとあはせて二萬まん五千せんなりき是これみな勇󠄃士ゆうしなり 47 但たゞ六百ぴやく人にんの者もの身みをめぐらして野のの方かたにのがれリンモンの磐いはにいたりて四月󠄃よつきがあひだリンモンの磐いはにをる 48 是こゝに於おいてイスラエルの人々ひと〴〵また身みをかへしてベニヤミンの子孫ひと〴〵をせめ刃󠄃やいばをもて邑まちの人ひとより畜けものにいたるまで凡すべて目めにあたる者ものを擊うち亦またその至いたるところの邑々まち〳〵に火ひをかけたり

第21章

1 イスラエルの人々ひと〴〵曾かつてミヅパにて誓ちかひ曰いひけるは我等われらの中うち一人ひとりもその女むすめをベニヤミンの妻つまにあたふる者ものあるべからずと 2 茲こゝに民たみベテルに至いたり彼處かしこにて夕ゆふ暮ぐれまで神かみの前󠄃まへに坐すわり聲こゑを放はなちて痛いたく哭なき 3 言いひけるはイスラエルの神かみヱホバよなんぞイスラエルに斯かゝること起󠄃おこり今日こんにちイスラエルに一ひとつの支󠄂派󠄄わかれの缺かくるにいたりしやと 4 而しかして翌󠄃日あくるひ民たみ蚤つとに起󠄃おきて其處そこに壇だんを築きづき燔祭はんさいと酬恩祭しうおんさいをささげたり 5 茲こゝにイスラエルの子孫ひと〴〵いひけるはイスラエルの支󠄂派󠄄わかれの中うちに誰たれか會衆くわいしうとともに上のぼりてヱホバにいたらざる者ものあらんと其そは彼かれらミヅパに來きたりてヱホバにいたらざる者ものの事ことにつきて大おほいなる誓ちかひをたてて其人そのひとをばかならず死しなしむべしと言いひたればなり 6 イスラエルの子孫ひと〴〵すなはち其その兄弟きやうだいベニヤミンの事ことを憫然あはれにおもひて言いふ今日こんにちイスラエルに一ひとつの支󠄂派󠄄わかれ絕たゆ〘374㌻〙 7 我等われらヱホバをさして我われらの女むすめをかれらの妻つまにあたへじと誓ちかひたれば彼かれの遺󠄃のこれる者等ものどもに妻つまをめとらしめんには如何いかにすべきや

8 又󠄂また言いふイスラエルの支󠄂派󠄄わかれの中うち孰いづれの者ものかミヅパにのぼりてヱホバにいたらざると而しかして視みるにヤベシギレアデよりは一人ひとりも陣ぢん營えいにきたり集會あつまりに臨のぞめる者ものなし
 490㌻ 
9 即すなはち民たみをかぞふるにヤベシギレアデの居民ひとは一人ひとりも其處そこにをらざりき 10 是こゝに於おいて會衆くわいしう勇󠄃士ゆうし一萬まん二千せんを彼處かしこに遣󠄃つかはし之これに命めいじて言いふ往󠄃ゆきて刃󠄃やいばをもてヤベシギレアデの居民ひとを擊うて婦󠄃女兒女をんなこどもをも餘あますなかれ 11 汝なんぢら斯かくおこなふべし即すなはち汝等なんぢら男人をとこおよび男をとこと寢いねたる婦󠄃人をんなをば悉こと〴〵く滅ほろぼし盡つくすべしと 12 彼等かれらヤベシギレアデの居民ひとの中うちにて四百ひやく人にんの若わかき處女をとめを獲えたり是これは未いまだ男をとこと寢いねて男をとこしりしことあらざる者ものなり彼かれらすなはち之これをシロの陣ぢん營えいに曳ひききたる是これはカナンの地ちにあり

13 斯かくて全󠄃ぜん會衆くわいしう人ひとをやりてリンモンの磐いはにをるベニヤミン人びとと語かたらはしめ和睦やはらぎをこれに宣のべしめたれば 14 ベニヤミンすなはち其時そのときに歸かへりきたれり是こゝにおいて彼かれらヤベシギレアデの婦󠄃人をんなの中うちより生いかしおきたるところの女子をんなを之これにあたへけるが尙なほ足たらざりき 15 ヱホバ、イスラエルの支󠄂派󠄄わかれの中うちに缺かけを生しやうぜしめたまひしに因よりて民たみベニヤミンの事ことを憫然あはれにおもへり

16 會衆くわいしうの長老としより等たちいひけるはベニヤミンの婦󠄃女をんな絕たえたれば彼かの遺󠄃のこれる者等ものどもに妻つまをめとらせんには如何いかにすべきや 17 又󠄂また言いひけるはベニヤミンの中うちの逃󠄄のがれたる者等ものどもに產業さんげふあらしめん然しからばイスラエルに一ひとつの支󠄂派󠄄わかれの消󠄃きゆることなかるべし 18 然さりながら我等われらは我等われらの女子むすめを彼かれらの妻つまにあたふべからず其そはイスラエルの子孫ひと〴〵誓ちかひをなしベニヤミンに妻つまを與あたふる者ものは詛のろはれんと言いひたればなりと 19 而しかして言いふ歳々とし〴〵シロにヱホバの祭まつりありと其その處ところはベテルの北きたにあたりてベテルよりシケムにのぼるところの大路おほぢの東ひがしレバナの南みなみにあり 20 是こゝに於おいてかれらベニヤミンの子孫ひと〴〵に命めいじて言いふ汝なんぢらゆきて葡萄園ぶだうばたけに伏ふして窺うかゞひ 21 若もしシロの女むすめ等ども舞まひをどらんと出いできたらば葡萄園ぶだうばたけより出いでシロの女むすめの中うちより各人おの〳〵妻つまを執とりてベニヤミンの地ちに往󠄃ゆけ 22 若もしその父󠄃ちゝあるひは兄弟きやうだい來きたりて我われらに愬うつたへなば我われらこれに言いふべし請󠄃こふ幸さいはひに彼かれらを我われらに取とらせよ我等われら戰爭いくさの時ときに皆みなことごとくその妻つまをとりしにあらざればなり汝等なんぢら今いまかれらに與あたへしにあらざれば汝等なんぢらは罪つみなしと
 491㌻ 
23 ベニヤミンの子孫ひと〴〵すなはちかく行おこなひその踴をどれる者等ものどもを執とらへてその中うちより己おのれの數󠄄かずにしたがひて妻つまを取とり往󠄃ゆきてその地ちにかへり邑々まち〳〵を建󠄄たてなほして其處そこに住󠄃すめり〘375㌻〙 24 斯かくてイスラエルの子孫ひと〴〵その時ときに其處そこを去さりて各人おの〳〵その支󠄂派󠄄わかれに往󠄃ゆきその族やからにいたれり即すなはち其處そこより出いでて各人おの〳〵その地ちにいたりぬ

25 當時そのころはイスラエルに王わうなかりしかば各人おの〳〵その目めに善よしと見みるところを爲なせり〘376㌻〙
 492㌻